【アートコンペ】最終審査に進む6作品が決定しました。
2014年8月11日
応募総数357点の作品の中から、1次審査(書類審査)、2次審査(公開プレゼンテーション)を経て、最終審査に進む6作品が決定しました。
これら6作品は実物の制作後、東京ミッドタウン「プラザB1」にて展示され、2014年10月6日(月)に行われる最終審査により、グランプリ、準グランプリ、優秀賞の各賞が決定します。
最終審査に進む6作品 (作家名50音順)
<作品名>
Empty freezer (m12)
<作品コンセプト>
仏教の教えの中で無常(どんなものにも始まりと終わりがあるということ)という言葉があります。この世が無常である限り、仏像でも、プラパック等の使い捨てのものでも同じようにいずれは朽ちていく、大差のないものではないでしょうか。しかし、実際は仏像、使い捨てのものとして当然のように分けられています。
そこで、仏像と同じ彫刻技法で作られたプラパック等から、いままでの価値観に疑問を提示できたらと考えています。
<作家名>
大塚 亨
<職業>
美術家/仏像彫刻家
<出身校(卒業年)>
2003年 多摩美術大学美術学部彫刻学科 卒業
2005年 東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復彫刻 修了
<作品名>
TODAY
<作品コンセプト>
繰り返される毎日の中で、一日の大切さはみえにくい。この作品に内在しているテーマもみえにくい。みえにくいけど、みてほしい。わずらわしくてすみません。
<作家名>
加藤 立
<職業>
フリーランスデザイナー
<出身校(卒業年)>
2003年 東京藝術大学美術学部建築科 卒業
実現性が高く、なおかつナンバーを加工するのではなくすべて撮影するという点が評価された。ナンバーとその日付が同じであることを見る人が気づいた時に、ぐっとくる作品であり、コンセプチュアルで期待が持てる。
<作品名>
明日へ変わる
<作品コンセプト>
昨日の私と今日の私は全く同じではない。
自分という存在は変化し続ける流れそのもので、変わらずそこに在り続ける事は不可能だ。現代社会はこの生命の流れに似ていると私は思う。
日々生産される多くの物や情報の代わりに、失われるものもまた同じだけある。変わりたいと願う自分がいて、変わらないで欲しいと思う風景があって、変わり続ける自然の流れがある。
私達の矛盾した気持ちとは裏腹に、生命はただ真っ直ぐに、明日へ変わる。
<作家名>
小林 万里子
<職業>
テキスタイル作家
<出身校(卒業年)>
2010年 多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイル専攻 卒業
2012年 多摩美術大学大学院修士前期課程デザイン専攻テキスタイル研究領域 修了
大変手が込んでおり、布の持つキャラクターや物質感、素材感が際立っていた。テキスタイルは過去に出て来ていなかった表現メディアであるが、過去作品からも技量に期待が持てた。
<作品名>
The other(※応募時「独立する一歩」)
<作品コンセプト>
モチーフのハイヒールは都会で生き生きと暮らす女性のイメージの投影です。
この作品の最も重要なストーリーは「社会に対し、憤った女性が履いていた片方の靴を衝動的に投げ、ふと、我に返った時にもう片方の靴を見たら、靴のヒールが獣の足になっていた。」というものです。
ミッドタウンに設置することで、都会で生きる人のスタイリッシュさと人間の持つ動物的な本能の両面を映し出す「鏡」の役割を担うと考えます。
<作家名>
住田 衣里
<職業>
学生
<出身校(卒業年)>
2012年 愛知県立芸術大学美術学科美術科彫刻専攻 卒業
2014年 愛知県立芸術大学大学院美術研究科彫刻領域 在学中
女性にとってのハイヒールはいろんな意味があり、働く女性=女性の社会進出を象徴する意味もあるだろうが、一方では、女性を枠にはめようとする象徴にもなりうる。女性の抑圧と、それをはね返す女性の強さを作品から感じられた。アルミ蒸着や獣の脚の部分の完成度に注意して欲しい。
<作品名>
群雄割拠
<作品コンセプト>
建築されてから時間が経過したコンクリートブロックの壁、一部は崩れ雑草が生えていた。その草や壁には小さい生き物達が住んでいる。
子供のときには身近で何気ない所から発見をして喜びを感じていた。
年を重ねていくにつれてそうした発見や感動は無くなっていく。
そんな日常に金属によって作られた塀や虫や花によって観察と発見をする喜びを与えたい。
<作家名>
原田 武
<職業>
金属造形家
<出身校(卒業年)>
2007年 広島市立大学芸術学部 卒業
2009年 広島市立大学大学院芸術学部造形計画専攻 修了
完成度が高く、精巧な作品である。人を引きつけて見せる作品であるので、ホワイトキューブではない東京ミッドタウンという商業スペースでどのように人を引きつけられるかがが楽しみである。台座などの展示方法にも配慮して制作してもらいたい。
<作品名>
欲玉
<作品コンセプト>
私は色、形、性質も違う個が雑多に混ざり合い、その集合体内部で勝手に出来上がる秩序や構造に美を感じる。集合体の外形を創るのが国家や世界秩序。違いが有りながらも一つの球体(地球)を共有し皆、各自の欲に向かって与えられた生を一生懸命生きている。
人間の欲望を一枚の食パンに見立てそこに飛びつく人たちを卵子に群がる精子のように我々が生きている今の時代を可視化した。東京ミッドタウンの軒下を奉る杉玉をモチーフに「欲玉」と題した作品。
<作家名>
山田 弘幸
<職業>
アーティスト
<出身校(卒業年)>
1994年 香川県立高松北高等学校 卒業
作品の説明のみに終始せず、自分がどういう作家であるかということがよく伝わるプレゼンテーションが評価された。また、プレゼンテーションにおけるスライドの使い方に、見せたいところに注目させるような工夫があり、過去作と今回の作品のつながりを見ることができ、作品に力を感じた。ユニークな経歴だが、今回の作品が東京ミッドタウンでどのように評価されるかが楽しみである。
関連リンク
- Tokyo Midtown Award アートコンペ
https://www.tokyo-midtown.com/jp/award/art/index.html
仏像は信仰の対象として見られるが、実際にそれを作っている人から見ると全く異なる見方になるという話が興味深かった。見方によっては仏像も信仰を入れる容器であり、今回の作品とのつながりが見えて面白い。ガラスケースの存在感が気になるので、その点を注意して制作して欲しい。