
「洗われた空間で深呼吸。」心おだやかに深呼吸をしたい時、緑の多い場所に足が向くのは人としてごく自然なこと。呼吸を通じて自分のカラダと向き合う椎名さんにとって自然あふれる場所は日常に欠かせないもの。雨上がりには、特別な楽しみがあるそうです。
新緑がまぶしい木々の下、木陰に立ち、目を閉じたまま静かに深く息を吸い込んでいるのは、呼吸法インストラクターの椎名由紀さん。多い時は日に二度三度、緑に囲まれた場所に足を運び、こうして新鮮な空気を体いっぱいに取り入れています。
「たくさんの木があって、土があって、空が見えて。意外かもしれませんが、東京にも“自然の宝庫”と呼べる場所が結構あり、とくに雨が降ったあとなどは、自然のチカラをより力強く感じられる絶好のチャンス。雨に濡れた土はいつも以上に匂いを立ち上らせ、緑は一層鮮やかに見えるなど、いいことづくめなんですよ。そしてなにより、雨に洗われた空気のきれいさは格別です。普段から、なるべく排気ガスを吸わないように心がけている私にとって、雨上がりはちょっと特別なんですよね」

雨に洗われた空気のきれいさは別格

「もちろん晴れた日も気持ちがよくて好きなんですけれど」と付け加え、気の向くままに、目に留まった木に触れたり、花の匂いを嗅いだり、遊びにきていた子どもたちとおしゃべりをしたり。まるでみんなに声をかけているよう。そしていつも座るという切り株に腰かけると、リュックから本を取り出しました。
「こうしてお気に入りの本とカフェラテを入れたタンブラーを持って、緑に囲まれて1〜2時間のんびり過ごすこともあるし、ほんの15分くらい木々を眺めるだけで家に戻ることもあります。本当に“ふらり”といった感じで出かけるんです。近所の公園はいつどんな時も気負わずに行けて、心の底からリラックスできる空間。まるで自分の部屋の一部みたいな感じですね。忙しくて時間がない時でも、移動中などに少しでも木や草の近くを歩きたくなります」
何にも遮られることなく 空と、自分と、大地が繋がる
椎名さんがよく足を運ぶのは、アスファルトで舗装された道路とコンクリート造りの建物に囲まれた、ごく普通の町中にある公園。ただ、敷地の周囲に見上げるほどの木々が茂るその空間を吹き抜ける風はひんやりと心地よく、枝振りに誘われた視線の先には目にも鮮やかな緑と空の青しか映りません。
「電柱や電線などの人工物に遮られない空が見えるのは、都内では公園くらいしかないんですよね。何かに遮られることなく、空と、自分と、大地が一直線に繋がる感じがするのも、私がこの場所を好きな理由です。また、これだけの木があるからこそだと思うんですが、風が吹けば木の葉がサワサワと音をたてるし、木々に集まる鳥たちの鳴き声もよく聞こえます。普段はあまり気に留めないような音も、緑がある場所にいると敏感に感じ取ることができるというか、感じ取ってしまうというか……。私が実践している呼吸法は目を閉じてするものなのですが、そうやって視界をゼロにしてみると、右耳と左耳に聞こえる音の違いだけでなく、風が頬に触れる感触だとか、かすかな花の香りだとかにも気付くようになるんです。そんな自分の中の“気付き”もまた、自然の中で過ごす時間の楽しみの一つだったりします」



今回登場いただいた椎名由紀さんは、切り株に腰かけて本を片手にのんびり。緑に囲まれてリラックスしながら本を読むなんて、最高に贅沢な時間ですよね。雨上がりの澄んだ空気のきれいさを、早速私も感じてみたくなりました。読書といえば今流行の『1Q84』でも、主人公がアパート近くにある公園にいくシーンが印象的です。緑あふれる空の下、お気に入りの場所を見つけて、ふと見上げたら2つの月が見えるかも!? [M]







