TOKYO MIDTOWN AGED 10 YEARS

齋藤 精一

Rhizomatiks 代表

TOKYO MIDTOWN 10周年特別インタビューキーパーソンが語る 過去・現在・未来

デジタルだから体験できる唯一無二の“富士山”を通して日本を表現してみたい。

齋藤 精一 Rhizomatiks 代表
齋藤精一

『江戸富士』では、独自の最新テクノロジーを使って、今までにない富士山の姿をお見せしたい、と語るのはミラノ国際博覧会 日本館での演出など、デジタルテクノロジーの可能性を幅広く追求している「Rhizomatiks(ライゾマティクス)」の代表取締役・齋藤精一さん。自らが率いる建築チーム「Rhizomatiks Architecture」が今回のインスタレーションを担当する。
「僕は大学院で建築を専攻していました。当時から考えていましたが、建築物を、より生物的、有機的にとらえると、まったく違う観点から発想ができるようになる。これは都市全体にも言えること。10年前に東京ミッドタウンが誕生し、六本木という街自体もまさに生きているかのように変貌を遂げています。これまでとまったく違うアンテナが生まれ、新たな文化を発信するようになった。僕たちアーティストから見れば、先進的なことができるところという印象に変わってきました。今後の10年もさらにどう変わっていくのか楽しみですね」
齋藤さん自身がそれを強く確信できたと語るのが、メディアアートディレクターを務めた「六本木アートナイト2015」。

カーテン・ウォール・シアター
DESIGN TOUCH 2016より。人の脳波によってカーテンが開閉する「カーテン・ウォール・シアター」もRhizomatiks Architectureの作品。その画期的なシステムに、昼も夜も人々の歓声があがる人気企画だった。
カーテン・ウォール・シアター
DESIGN TOUCH 2016より。

「時代によってアートも変わらなければいけない。メディアアートディレクターとして、六本木アートナイトにコンピューターやテクノロジーを使ったアート作品を持ち込み、一般の人が参加できるような仕組みを導入しました。東京オリンピックを見据えて、多くの人が自然につながる感覚をこの街で強く感じることができたことは、大きな経験となりました」

2015年ミラノ国際博覧会 日本館展示ゾーン
2015年ミラノ国際博覧会 日本館展示ゾーンのクリエイティブ・ディレクションを担当。展示デザイン部門で金賞を受賞。

今回の『江戸富士』に参加するにあたっては、あらためて、富士山と日本についてとことん考えてみたという齋藤さん。
「島国で四季があり、天災も多い。だからこそ丁寧で細やかな心配りと技術で育んだ文化や国民性はガラパゴスだとも言われるけれど、それはむしろ誇るべき日本の長所なんです。否定的ではなく、ポジティブな意味で〝ガラパゴスを守る〟ことは、今後の日本にとって重要なことだと思います」
さらに、今回のインスタレーションのテーマは、「富士山を解剖する」ことだと語る。
「日本の象徴だと口では言いながら、富士山のことをきちんと理解している人はどれだけいるでしょうか。今回、私たちが目指すのは、デジタルの力をフルに生かして、地質学、地理学、地震学、水文学など、いくつもの科学的視点から富士山を徹底的に分析すること。それぞれのリアルデータを結集させることで、今までにない富士山の姿を明らかにし、みなさんに富士山を多角的にとらえてもらうきっかけにしてもらえれば嬉しいですね」

PROFILE

齋藤 精一
Rhizomatiks 代表

建築デザインをコロンビア大学建築学科で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。2006年にライゾマティクスを設立。建築で培ったロジカルな思考をもとに、アート・コマーシャルの領域で立体・インタラクティブな作品を多数作り続けている。

Photo: Jan Buus
Interview: Hisashi Ikai

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