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ACTION REPORT

VOL.04未来の学校
-OPEN STUDIO-

“GOODBYE WORK展”
みらいの働き方

-

主催
東京ミッドタウン
協力
アルスエレクトロニカ
参加
クリエイター
Pinar Yoldas
Filippo Giraldi
GOODBYE WORK展
Credit : Florian Voggeneder

東京ミッドタウンとアルスエレクトロニカの協働プロジェクト「未来の学校 -OPEN STUDIO-」今回は「“GOODBYE WORK展” みらいの働き方」をレポートします。タイトルに掲げられているのは、ハローワーク(職業安定所)の真逆の「グッバイ・ワーク」。ここにはどのようなメッセージが込められているのでしょうか。キーワードは「AI」です。

AIが当たり前になる時代

AI、つまり人工知能の進化は近年目を見張るものがあります。私たちが普段触れている、あるいは直接かかわっている仕事のなかには、遠くない将来、AIが代わりにやってくれるようになるものも少なくないのではないでしょうか。とくに、うんざりするような単純作業や、危険を伴う仕事については、AIにとって代われることで、私たちは豊かな人生を送ることができるようになるでしょう。では、そうした未来が実際にやってきたとき、私たちはどのように働き、どのような人生を送ることができるでしょうか。作品を展示したMX3DやPinar Yoldasのアートプロジェクトを通して、私たちは「みらいの働き方」のヒントを得ることができるはずです。

AIが当たり前になる時代

人とロボットによる、未来のものづくり

MX3DはJoris Laarman Labと協働である公共のプロジェクトを行ってきました。それは、3Dプリンターを使って鋼鉄でできた橋をつくり、実際にアムステルダムの街に設置するというものです。「MX3Dブリッジ」はまさに、未来の工場、未来のものづくり、未来の都市設計について考えることができる、ひとつの具体的な実験なのです。ここで大切なのは、自動ロボットの活躍が、未来の仕事において人間が排除されてしまうことをそのまま意味するのではないという点です。「MX3Dブリッジ」プロジェクトで重要なことは「人とロボットの協働」にあります。3Dプリンターだけで橋ができるわけでもなければ、MX3Dのチームだけでプロジェクトが進行したわけでもありません。そこにはたくさんの人々のコラボレーションがあることを、MX3DのFillipoは強調します。複数の異なる専門性を持ったチームが議論し支えあうプラットフォームがあり、その上で人とロボットが互いの長所を生かしながら公共の風景をデザインしていく。これこそが「MX3Dブリッジ」の提示する「みらいの働き方」に他なりません。

人とロボットによる、未来のものづくり
“MX3Dブリッジ” by MX3D

AIによる、ミクロな民主主義

Pinar Yoldasの「Kitty AI」は、2039年の未来に、子猫の姿をしたAIが知事になっているという映像作品です。アプリをダウンロードした誰もが、簡単に直接「Kitty AI」と意思疎通が図れる未来。Pinarは「Kitty AIであれば同時に300万人を愛することができる」し、そうした直接的なコミュニケーションに基づいて政治が行われることは「ミクロな民主主義の実現」であると言います。確かに私たちはちょっとした手続きにも役所で長く待たされますし、手続き自体も煩雑で大変です。選挙で選んだ候補者が実際に私たちの意見を全面的に、また細部に至るまで実現してくれるとは限りません(実際それは人間には不可能です)。こうして私たちは、政治に失望したり、無関心になってしまうことがあるのも事実です。しかしアフェクティブ(感情)・コンピュータであれば、そしてそれが可愛らしい子猫の姿をしていれば、私たちの政治と生活がより身近になり、具体的なアクションにつながっていくのではないでしょうか。

AIによる、ミクロな民主主義
“Kitty AI” by Pinar Yoldas

人とロボットが手を取り合う、みらいの働き方

PinarやFillipoふたりのアーティストに加え、アルスエレクトロニカフューチャーラボの小川秀明、久納鏡子、そして『WIRED』日本版編集長の松島倫明を招いて開催したトークイベントでは、個々の実践を具体的に紐解きつつ、AIが当たり前に社会に存在する未来において、私たちがどのように暮らしていくのかに議論が広がりました。Fillipoも話すように、実際に私たち人間の仕事が0になるわけではありません。ポイントなのは、働き方に大きな変化が訪れるだろうということです。AIが多くの単純作業を肩代わりしてくれる未来では、私たち自身が「働きたい働き方」を選ぶこと、そして「自分にとって本当に必要な時間」が何かを考えることが大切です。こうした未来では、自己中心的な目的ではなく、利他的な、誰かのためになるような仕事がもっと注目されていくことになるはずです。また、Pinarが強調しているように、「もう働かなくてすむというエキサイティングな話だけではなく、社会を構成するシステムがどう変わり、どういう人がどういう影響を被るのかを真剣に考えなければならない」ことも確かです。テクノロジー自体はニュートラルなものであり、それをどのように使うのかはあくまでも私たちの手に託されています。また、テクノロジーが私たちの抱える全ての問題を一挙に解決してくれるわけでもありません。「みらいの働き方」について考える、「みらいの社会」について考える上で、アートが持つ「問い」を生み出す力は私たちにたくさんの気づきを与えてくれるはずです。「人生100年時代」ともいわれるなか、人とロボットが手を取りあうことで、充実した明るい未来を作っていくことができるのではないでしょうか。

人とロボットが手を取り合う、みらいの働き方

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