TOKYO MIDTOWN AGED 10 YEARS

西畠 清順

そら植物園 代表 / プラントハンター

TOKYO MIDTOWN 10周年特別インタビューキーパーソンが語る 過去・現在・未来

植物も文化もフレキシブルに取り入れるのが日本のよさ。この街にも同じ魅力を感じます。

西畠 清順 そら植物園 代表 / プラントハンター

東京ミッドタウン10周年記念イベントの最大の注目が、芝生広場に登場する『江戸富士』。高さ約6メートル、幅約23メートルの巨大なモニュメントを制作するのは、「そら植物園」代表であり、プラントハンターとして広く活躍する西畠清順さん。自身も、これまで富士山に10回以上登山したことがあるという。
「日本人にとって富士山は特別な存在。今回、富士山をとおして自然の循環を自分なりに表現してみようと思いました。素材として用いるのは街路樹などの剪定枝を細かく粉砕したチップ材。最終的にバーク堆肥と呼ばれる土壌改良材に転用されるもので、東京ミッドタウンでの展示終了後、別の場所で再利用され、多くの植物を育むための糧となります」と西畠さんは語る。
「『もったいない』というフレーズは、日本ならではの素晴らしい言葉。この言葉に代表される、ものを大切にする心や、周囲を尊んで協調しながら生活するという気持ちこそが、日本の素晴らしさのひとつだと思います。富士山を日本の象徴と呼ぶのであれば、今回は、こうした精神も富士山の形を借りて表現したいなと思っています」

Ebisu Beer Renewal Celebration
2016年3月、東京ミッドタウンで開催された「Ebisu Beer Renewal Celebration」。ひと足早く咲き誇った巨大な桜を会場に設置した。
神戸国際会館の屋上ガーデン
神戸国際会館の屋上ガーデン。樹齢約500年のオリーブの木をシンボルツリーにした“楽園”をプロデュース(2014年~2015年)。

日本ほど上空から緑が美しく見える国はない

プラントハンターとして世界中を飛びまわる西畠さんは、植物を調査、採集するために1年のうち300日近くが海外でのホテル暮らし。そんな西畠さんは、〝ある景色〟を目にするたびに、日本に帰ってきたことを実感するという。
「それは、帰国の際、着陸態勢に入った飛行機の窓から見える一面の緑。毎回毎回、その美しさに見とれてしまいます。上空から見る森林の色がこれほど豊かな場所は、世界中どこを探してもなかなかありません。それだけ日本は植物が暮らしやすい国だということなんです」
日本の草木は、春に芽吹き、夏には茂る。秋になると色づき、冬には眠りにつく。日本特有の四季のおかげで、植物たちはその生命を謳歌し、色鮮やかな姿を私たちに見せてくれる。
「秋に実をつけて葉を落とす木が多いのも、暑い季節にしっかりと雨が降るという気候のおかげ。そんな四季のメリハリのあることは、植物にとっても人間にとっても幸せなこと。過酷な自然と暮らす世界の国々に行くたびに、それを実感します」

Blossom Beats
2016年3月、日本とシンガポールの国交50周年を記念し、観光名所「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」で開催された 「Blossom Beats」。シンガポール初の桜イベントを成功に導く。
西畠氏

豊かなフレキシビリティこそ日本と日本人の美徳

植物と日々接しながら西畠さんはその美しさだけでなく、その生命力の強さにも感動させられるという。
「植物はそもそも環境への適応力が高い。種子をできるかぎり遠くに飛ばして生息域を広めようとするのは、植物の本能。特に日本は多くの生命の発育に適した気候風土を持つ国なので、古くからさまざまな帰化植物が居ついています。その数は約1500種で、日本の自生植物全体の約2割にも及ぶといわれます。これは、日本人の特性と似ているなと思います。歴史を振り返ってみるとわかるんですが、古くから日本人は、外来の文化を積極的に受け入れ、自己流にうまくアレンジして繁栄してきました。今、私たちのまわりを見回しても、衣食住すべてにおいて、外からのものを柔軟に取り入れています。このフレキシビリティも、日本人の素晴らしいところだと思うんです」
10周年を迎える東京ミッドタウンも、広大な緑とファッションやグルメなど国内外の文化がうまく融合し、そこに日本らしさを実感すると西畠さん。
「都会の真ん中でこれだけの緑と共生できる空間はとても貴重。ガーデンの木々が10年20年と生長していくのと一緒に熟成していくこの街を、僕も心から楽しみにしています」

PROFILE

西畠 清順
そら植物園 代表 / プラントハンター

兵庫県生まれ。幕末より150年以上の歴史を持つ植物問屋「花宇」の5代目。植物を使ったさまざまなプロジェクトを次々と手がける。2012年に植物のコンサルティングなどを行う「そら植物園」をスタート。その代表も務める。

Photo: Jan Buus
Interview: Hisashi Ikai

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