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Tokyo Midtown Award 2015 結果発表

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Tokyo Midtown Award 2016 アートコンペ結果発表

概要

テーマ 応募者が自由に設定
審査員 川上 典李子、児島 やよい、清水 敏男、鈴木 康広、土屋 公雄、中山 ダイスケ、八谷 和彦
グランプリ(賞金100万円)─── 1点
準グランプリ(賞金50万円)───2点
優秀賞(賞金10万円)─── 3点
※グランプリ受賞者を、University of Hawai’iのアートプログラムに招聘します。
※2016年は審査の結果、準グランプリが2点、優秀賞が3点に変更となりました。
応募期間 2016年5月12日(木)~6月2日(木)

受賞作

意識の表象

グランプリ(賞金100万円)

【受賞者】
後藤 宙 学生
東京都出身、在住

【受賞作】
意識の表象

後藤 宙

今回の作品「意識の表象」は、これまで制作をしてきた糸を使った彫刻作品シリーズの延長上にありながらも、絵画的な視点を持ち込んだものである。幾何学や黄金比、トラス構造などと対話してきたこれまでの制作から、自分の中に表象として浮かんできたものを、ドローイングによってすくい上げた。象徴的であり、視覚的な現象を纏った今作が、多くの人の目に言語外のメッセージを刻むことを願う。

Twistripe

準グランプリ(賞金50万円)

【受賞者】
大塚 功季 学生
佐賀県出身、愛知県在住

【受賞作】
Twistripe

大塚 功季

都市全体から感じられる圧倒的なパワーは、植物が持つ躍動感や力強さと似ています。
それは東京という都市が、植物のように「成長」を続けているからです。
そして「工事中」の象徴であるトラロープから生み出された有機的なこの作品は、都市と植物、双方のイメージを併せ持ちます。
そこに、成長しようとする意志のようなものを感じてもらえたら、と思います。

波と椅子
制作協力:
株式会社 東宝映像美術 / 大信ガラス 株式会社

準グランプリ(賞金50万円)

【受賞者】
山口 正樹 美術家/彫刻家
千葉県出身、東京都在住

【受賞作】
波と椅子

山口正樹

存在や安定をイメージさせる椅子と、連続するエネルギーである波。この相反する2つのイメージが、1つの造形物として拮抗しつつバランスを保っている彫刻作品です。ガラスを使用することで、公共空間と作品の関係を透明にし、そのことがかえって人々に違和感を与えることでしょう。この作品は東京ミッドタウンという場所に、いつもと違う独特な空間が生み出されるように考案したものです。

時を纏う

優秀賞(賞金10万円)

【受賞者】
齋藤 詩織 学生
栃木県出身、山形県在住

【受賞作】
時を纏う

齋藤 詩織

服は着ていた人の記憶や想いを詰めた抜け殻。そして人は服を纏って社会に所属し生活を送る。 実家に残っていた高校の制服を見た時にそれだけが当時のまま変わらずに存在し、自分だけが時を 刻んでいるように感じた。服に残る傷や汚れからは、過去の記憶を呼び私に大切な何かを訴えかけてくる。

底なしの渇き

優秀賞(賞金10万円)

【受賞者】
副島 しのぶ 学生
広島県出身、茨城県在住

【受賞作】
底なしの渇き

副島 しのぶ

人々の行き交う場所に、まるで忘れ物のようにぽつんと置かれた紙袋。
道行く人の視線が向けられるその紙袋の中には一体なにがあるのか。
満たされた水、底に続く深い穴。
その不安定な風景に、あくなき欲望を垣間みる。

稜威母 協賛:DMM.make

優秀賞(賞金10万円)

【受賞者】
FUKUPOLY 映像作家
群馬県出身、東京都在住

【受賞作】
稜威母

FUKUPOLY

「稜威母」 とは日本の女神・イザナミの別称です。出雲の国の「いずも」の語源とも言われています。

枯れた盆栽から流体シミュレーションによって生成された「空気の彫刻」は、生と死、現実と虚構の中を曖昧に漂う「雲」のような作品です。

審査員コメント

川上 典李子
川上 典李子 (ジャーナリスト/ 21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクター)
本コンペの審査に初めて参加し、社会とアートの関わりについてやパブリックアートの可能性など、審査員がたっぷり議論を交わす実に重要な場であることを実感しました。そのなかで私自身、アートとは何か、それも東京ミッドタウンにおけるアートは何か、と自問自答を繰り返しながら意欲的な提案を拝見してきました。テーマを自由に設定できるということは、各々の問題意識や日頃の取り組みが如実に現われるということです。それが本コンペの重要な点であり醍醐味で、それが弱い人は作品もやはり魅力に欠ける。今回のグランプリと準グランプリは私も納得のゆく結果で、実力と同時に可能性がにじみ出ている方々を選出できたと思っています。今後さらに飛躍していただくことに期待しています。
児島 やよい
児島 やよい (キュレーター/十和田市現代美術館副館長/慶応義塾大学、明治学院大学、学習院女子大学非常勤講師)
まず、書類審査でいつも悩むのですが、一人で大量の応募書類を読みながら、この人はどういう作家か、どういう考えで作品を作りたいのか、判断していくのは難しい。今年は特に書類審査が難しかったのですが、結果として審査員全員によって選ばれた作品は、テーマ、表現やメディアから多様性をとても感じられました。このコンペの可能性、そしてアートの可能性もまだまだ広がっていくと、期待をもてる年になったと思います。今回のグランプリと準グランプリ、3人のそれぞれ方向性の異なる方々を選ぶことができたのも良かった。応募されたみなさんの、さらなる頑張りに期待しています。
清水 敏男
清水 敏男 (東京ミッドタウン・アートワークディレクター/学習院女子大学教授)
東京ミッドタウンの公共空間に作品を置くというのは大変難しいものですが、今回最終審査において上位3位を占めたものは存在感を強く出することに成功していました。その理由はおそらく自己の表現を追求する姿勢が強く、その結果作品の存在感が十分に発揮されたのではないかと思います。やはり作家としての意志の強さがあったと思います。そこで準グランプリは甲乙つけ難いということで2名に授与することとなりました。上位に届かなかった作品はやはり、もう一押し足りないところがあったと思います。今後に期待したいと思います。
鈴木 康広
鈴木 康広(アーティスト/武蔵野美術大学准教授/東京大学先端科学技術研究センター客員研究員)
今回初めて審査に参加しましたが、応募作品が予想以上に多様で、比べようのないものが一堂に会している状態に刺激を受けました。それに対応して審査員の人数が多いこともこのアワードの特徴だとあらためて理解しました。今回、上位に残った作品も、結果的にグランプリ・準グランプリという言葉で分類されましたが、特に同じく準グランプリに選ばれた2人の作家は全く異なる軸をもち、彫刻という概念では対極にあると言えます。ただ、その中にも同時代に生きる作家に通じる何かが見えてくるのかな、とも思えてきます。そういった、異質なクリエーションがぶつかる現在地に立ち会うことができて、僕自身も学ぶことが多かったです。このアワードそのものが1つのパブリックアートとして、東京ミッドタウンに新鮮な息吹を呼び込む装置となっていることを垣間見る機会になりました。
土屋 公雄
土屋 公雄 (彫刻家/愛知県立芸術大学教授/武蔵野美術大学客員教授)
我々はかつてないテクノロジーの時代に生きています。アートは手の中から、あるいは身体から生まれてくる創造の世界だと思っています。だからこそ、Tokyo Midtown Awardで選ぶ作品については、そのフィジカルな部分は絶対に必要なものだと思います。今回最終選考まで残った作品は、どれも手と頭の中間から生み出された、象徴的な作品であり、今後の我々の未来を考える上でも大切なものです。それをこの東京ミッドタウンという、大都市東京のど真ん中から発信するというところに、さらなる意味が生まれるのです。
中山 ダイスケ
中山 ダイスケ (アーティスト/アートディレクター/東北芸術工科大学グラフィックデザイン学科教授)
毎年、応募書類を時間をかけて読みますが、今年の風潮としては、見慣れたものにひと手間を加えたようなものや価値の変換がコンセプトになっているようなものがとても多かった気がします。しかし、何百点もの応募作品を見ていると、レディメイドや何かのアレンジといったような元の形がわかるようなものよりも、これは何だろう?どうしてこんなことを考えたんだろう?と思うものに魅力を感じてしまいます。つくづくアートって一体何だろう?ということを考えさせられるコンペでした。
八谷 和彦
八谷 和彦 (メディア・アーティスト/東京藝術大学先端芸術表現科准教授)
今回は、ここ数年と比較して、全体的にかなりレベルの高い作品を選出することができたと思います。特に、グランプリ・準グランプリを選出するのには正直、悩んだのですが、結果的には独創性と完成度の高い作品を最終的に選ぶことができたと感じています。また、グランプリ・準グランプリに選ばれなかった優秀作品にも、個々に光る部分があったと思うので、今後の作品の展開に期待するとともに、どこかの機会でアドバイスできるところはしたいと思っています。

審査風景

審査風景

総括

今年度は、「応募者が自由に設定」とのテーマで、東京ミッドタウンを代表するパブリックスペースであるプラザB1Fを舞台に、場所を活かしたサイトスペシフィックな作品を募集、総計243作品の応募がありました(応募条件は39歳以下、かつ1名(組)1作品案まで)。

審査員には、ジャーナリストの川上典李子氏とアーティストの鈴木康広氏の2名を新たに迎えた、7名体制で、「コンセプト」「場所性」「芸術性」「現実性」「独創性」の審査基準で審査が進められました。1次審査では12作品を選出、2次審査では、それぞれの作家が模型を使って公開プレゼンテーションを行い、計6点の入選作品を選出しました。2次審査通過者6名には制作補助金として100万円が支給され、2016年9月26日(月)より公開制作を実施。10月4日(火)の最終審査にて、グランプリ1作品、次いで、準グランプリは例年1作品のところ、今年は接戦ののち、満場一致で史上初の2作品が選出され、優秀賞3作品を合わせた各賞が決定しました。上位には、完成度が高く、公共性の高い商業スペースに存在感を発揮した作品が選出されました。

今年度の応募傾向としては、絵画が昨年を上回り、応募数を伸ばしました。また、応募者にテーマを自由に設定してもらい、作品提案をしていただきましたが、年々応募の質が高くなっており、特に今年は、公共空間においてのアートとは何か?、その問いにいかに向き合おうとしているか、がうかがえるコンペとなりました。

6名の受賞者には大きな拍手を送るとともに、今回ご応募いただきましたすべての皆様に、心より感謝申しあげます。

協力
TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE(http://www.shimizuoffice.com/
後援
University of Hawaii at Manoa / Department of Art and Art History(http://www.uhm.hawaii.edu/
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