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2019年7月30日Award News

【アートコンペ】最終審査に進む6作品が決定しました。

【アートコンペ】最終審査に進む6作品が決定しました! 【アートコンペ】最終審査に進む6作品が決定しました!

262点の応募作品の中から、1次審査(書類審査)、2次審査(公開プレゼンテーション)を経て、最終審査に進む6作品が決定しました。

これらの6作品は実際に制作、東京ミッドタウン「プラザB1」にて展示され、2019年9月24日(火)に行われる最終審査(実物審査)により、グランプリ、準グランプリ、優秀賞が決定します。

各賞の発表は2019年10月18日(金)です。

最終審査に進む6作品(作家名50音順)

made in ground
<応募作品名>
made in ground
<応募作品コンセプト>
ミミズが排泄する糞塚は、土であり、排泄物であり、生き物がいた痕跡である。私はそんな糞塚をミミズが作った彫刻と捉え、それらをそのままの形で、窯で焼成し陶にするプロジェクトを行なっている。華やかな六本木という街で「糞」は排泄物として嫌われるが、それらは循環の一部であり、生きた証である。縁の下の力持ちであるミミズが地下で造った糞塚を、六本木の地下の会場で展示することで、私たちの未来について考えたい。
井原 宏蕗
<作家名>
井原 宏蕗(イハラ コウロ)
<職業>
彫刻家
<所属、出身校>
2013年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了

審査員コメント

社会的なテーマでなく根源的な大地に着目し、地中に住むミミズという「見えなくなっているもの」を取りあげている点に評価が集まりました。「本質を見せる」とはどういうことかを考えながら、作品が鑑賞者にストレートに伝わる工夫をしてください。

貝殻の舟-神奈川沖浪裏
<応募作品名>
貝殻の舟-神奈川沖浪裏
<応募作品コンセプト>
貝殻は貝の生きた痕跡であり、波の形の跡のようです。貝殻を繋いで舟をつくる行為は、土器の欠片を貼りあわせて、古代の土器を蘇らすような行為です。それは海の魂の器が集まって生まれた鎮魂の舟のようです。震災の津波の後から、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」がとても気になり、波のような貝殻の舟が「神奈川沖浪裏」の大波のようになりました。東京ミッドタウンの人の流れと水に包まれるような建築から大波の舟が生まれます。
杉原 信幸 × 中村 綾花

Rich J Matheson

<作家名>
杉原 信幸 × 中村 綾花(スギハラ ノブユキ × ナカムラ アヤカ)
<職業>
美術家(杉原信幸)、帽子作家(中村 綾花)
<所属、出身校>
杉原信幸
2007年 東京藝術大学大学院絵画科油画専攻修了。NPO法人原始感覚舎理事長
中村綾花
2004年 信州大学農学部卒業

審査員コメント

波が舟になるという試み、全国の貝が東京という場所に集まるイメージに現代社会に対する様々なメッセージを感じました。作品が観光地のお土産物のようになってしまわないよう、作家としての経験や技術や思想などを生かしながら、新しい作品になることを期待しています。

人工知能による顔の識別
<応募作品名>
人工知能による顔の識別
<応募作品コンセプト>
街の似顔絵屋のように粘土を使って即興で鑑賞者の首像を作るパフォーマンス。完成された首像は積み重ねられ様々な方が来たことを表す。日々街ですれ違う他者の顔はどれほどの精度を持って私たちの記憶に残っているのだろうか?これからの人工知能の発展と機械化の精密なプロダクトは、私たちの記憶を鮮明にする。
古屋 崇久
<作家名>
古屋 崇久(フルヤ タカヒサ)
<職業>
アーティスト
<所属、出身校>
2014年 明星大学造形芸術学部造形芸術学科造形デザインコース卒業。

審査員コメント

テクノロジーの持つ不気味さを人間の行為にすり替えてユーモアを交えて考えていこうとするプランが興味深いです。新しいテクノロジーにあまり考えなしに反応していると見られてしまわないよう、ナンセンスな中にもシリアスさを感じられるような作品を期待します。

躍っていたいだけ
<応募作品名>
躍っていたいだけ
<応募作品コンセプト>
生活のなかに感じる歓びや痛みを、衣服は内包している。どこかにしまいこんでしまった衣服を、ひっぱりだしてみる。あるいは、運命の1着との出会いを信じて、外に出かけてみる。そのときめきや切なさを、私はずっと体験していたい。違和感だらけのこの身体で、それでも何かに期待していたい。それらを版画で表現し、個人の所有から遠ざける。この作品が風に揺れたとき、人々は、他者の存在を意識し、自分の存在を確かめる。
古屋 真美
<作家名>
古屋 真美(フルヤ マミ)
<職業>
学生
<所属、出身校>
武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻版画コース 在籍中

審査員コメント

版画という技法を生かしながら、日常的に考えていること、感じていることにまっすぐに向き合っている様子が伝わってきました。洋服を身近に感じるという部分と、作品としてどう伝えるかという部分、双方に留意しながら制作してください。

イカトカイ
<応募作品名>
イカトカイ
<応募作品コンセプト>
東京の時の流れは速い。人間性を殺していかないと生活できない如何ともしがたい社会。みんな、スルメや熨斗イカになっていないか。ネオンの瞬きはいかにも目まぐるしく体色変化するイカの表皮の色素胞のよう。星のない夜空はイカ墨。都会の美しいイカに気づいてもらいたい。そしてイカが生きる海と、地球と宇宙を思い出していかなるときも自分を大切にしてほしい。いかほどの人間と世界を尊重できるか。イカに生かされよう。
宮内 裕賀
<作家名>
宮内 裕賀(ミヤウチ ユカ)
<職業>
イカ画家
<所属、出身校>
2007年 タラデザイン専門学校造形美術科卒業

審査員コメント

イカに対する徹底したこだわりに感動しました。イカと我々の社会や都市との関係性など、様々な考えを巡らせるきっかけに満ちており、驚きをもたらしてくれます。説明的にならず、自分自身がイカから何を感じ、空間の中でどのように示せるのか、体当たりでやりきってください。

Metaphorical site
<応募作品名>
Metaphorical site
<応募作品コンセプト>
ここはコスモポリタンな場だ。 現代の多様性が具体化した場所は、現地制作される作品に応答するだろう。下書きのないまま描かれる糸のドローイングは、作品を享受する多様な『個』によって自由に解釈され、 無数の様相をもつ東京ミッドタウンの比喩的なサイト(光景)となる。不可視な多様性の総体が作品そのものであるように。東京ミッドタウンという"場"そのものであるように。
盛 圭太
<作家名>
盛 圭太(モリ ケイタ)
<職業>
アーティスト
<所属、出身校>
2011年 パリ第VIII大学大学院美術研究科先端芸術修了

審査員コメント

日常的にある糸や紐といったものを使って、風景を再構成する手法に面白さを感じました。重力を使って描くなど、人が自発的に決めるのではない「線」自体の面白さに心動かされました。東京ミッドタウンを行きかう人々と関わり合い、新しい発見をしながら制作していくことを期待しています。

2次審査 審査員総評

大巻伸嗣
TOKYO MIDTOWN AWARDは、1次審査で審査員が応募された全作品に丁寧に目を通し、2次審査では1次審査を通過した作家から直接話を聞けるのが特徴です。毎回大変と感じながらも、楽しく審査にあたっています。2次審査には、東京近郊だけではなく、九州やパリなど世界からも参加する作家がいました。全国から、そして世界から多くの方が訪れる東京ミッドタウンを体現するような審査会だったと感じました。
今回も制作物をただ見てほしいということにとどまらず、日頃から取り組んでいる活動の中で深められた問いやそのエネルギーをぶつけたいと思っている作家に出会えたのではないでしょうか。
2次審査で作家に投げかけた質問やコメントの中には厳しいと感じたものも多くあったかもしれませんが、アーティストである自分自身への投げかけだったりもして、審査会を通じて自らも勉強させていただきました。最終審査に進んだ人も進めなかった人も、この経験を発見に変え、次の展開につなげてもらいたいと思います。応募してくださったみなさまには、審査に通過しなかったからもう終わり、ではなく、最終審査に残った6作品を是非見にきていただきたいです。
金島隆弘
TOKYO MIDTOWN AWARDは、審査員が単に合格・不合格と判断を下すというよりは、応募者との議論を重ねながら審査が行われ、そのプロセスは独特で、とても丁寧に進められるコンペだと感じています。審査では、「今の美術はどうなっているのか」ということを意識しながら、ディスカッションしているという気持ちが強いです。私自身は特に「美術と工芸」の関係性に関心を抱いているので、2次審査では、工芸的な素材を扱うアーティストに着目しながら審査にあたりました。常に素材と向き合わなければならない環境の下で、作品をどう展示に発展させられるか、工芸からどう美術につなげられるか、そういう議論も重ねました。2次審査を通過した方も、惜しくも通過できなかった方も、審査会でのやりとりから何かを得て、今後の制作に生かしていただきたいです。
川上典李子
毎回、応募者の皆さんを応援したいという気持ちで審査に臨んでいます。1次の書類審査では、作品案を拝見して、ぜひ会ってみたいと思った作家を選出しました。また今回は、都市の環境やそこに生きる人々に目を向けた作品案に加えて、都市に「潜んでいるもの」、「見えないもの」に着目し続けたうえでの提案が多かったことも印象的です。都市に流れる長い時間や都市を超えた世界の大きな循環のなかで何が起こっているのかなど、様々なことに思いを巡らせるきっかけとなる意欲的な作品案に出会うことができました。
クワクボリョウタ
「次はこうしたらよいのではないか」を提案するという気持ちで、2次審査にあたりました。コンペには採用・不採用がついてまわりますが、TOKYO MIDTOWN AWARDの場合は、勝ち負けのゲームではなくて、今回選ばれなかった方も、作家性が否定されたわけではなくて、たまたまプランがうまくはまらなかったということだと思います。質疑応答を通じて、いろいろな提案をさせていただいたので、審査で受けたコメントについて吟味していただき次につなげていただきたいです。通過した方にも同じことをお伝えしたいと思います。また、作家としてのアイデンティティを確立してしまった人ほど、次の活動に向けたジレンマがあると、自分自身も身につまされつつ考えさせられました。最終審査で通過した6組の作品を拝見できることを楽しみにしています。
鈴木康広
1次選考を通過した作品を見渡してみると、東京ミッドタウンという人がつくった環境の中に入り込んでくる様々な自然、生き物の存在というテーマが立ち上がってきたように感じました。また、どんなクリエーターが東京ミッドタウンに興味を持って活動しているのかを可視化する場でもあったように思います。2次審査を通過したのは、完成度の高い予定調和的な作品というよりは、「どうなるかわからない」要素をはらむ人だったと思います。応募者は審査されるというよりは、東京ミッドタウンで「何か」を起こす活動に巻き込まれているという気持ちで、今後の制作に臨んでもらいたいと思います。

関連リンク

TOKYO MIDTOWN AWARD アートコンペ
https://www.tokyo-midtown.com/jp/award/art/