デザインコンペ

デザインコンペ

Tokyo Midtown Award 2017アートコンペ結果発表

アートコンペ概要

テーマ 応募者が自由に設定
審査員 川上 典李子、児島 やよい、清水 敏男、鈴木 康広、土屋 公雄、中山 ダイスケ
グランプリ(賞金100万円)─── 1点
準グランプリ(賞金50万円) ─── 1点
優秀賞(賞金10万円)─── 4点
  • ※グランプリ受賞者を、University of Hawai’iのアートプログラムに招聘します。
応募期間 2017年4月27日(木)~5月18日(木)

グランプリ

地図の沈黙を翻訳せよ

  • 地図の沈黙を翻訳せよ
  • 受賞者:

    金子 未弥
    アーティスト
    神奈川県出身、在住
    素材:アルミ、鉄
    協力:
    株式会社 赤原製作所
    (AKAHARA Co.Ltd.)
    Photo by
    Motohiko David Suzuki
    金子 未弥

ここに刻まれているのはすべて都市の名前です。
知っている都市名から、あなたはなにを思い浮かべますか。
最近の出来事や、ささやかな思い出、誰かの声などでしょうか。
では、都市名に潜む見えない記憶に耳を傾けてみてください。
そこでは他者の記憶も古い記憶も内包され、ひしめきあっているはずです。
雑音のような混沌とした記憶の総体を、私たちは「都市」と呼ぶのではないでしょうか。

準グランプリ

rainbows edge Ⅵ

  • rainbows edge Ⅵ
  • 受賞者:

    七搦 綾乃
    彫刻家
    鹿児島県出身、広島県在住
    素材:木(樟)
    七搦 綾乃

私はひからびた植物、山や石、虹といった自然物や自然現象を中心的なモチーフにし、それらに独自の造形的な解釈、見立てを行い木を素材とした彫刻作品を制作しています。それらのモチーフに潜み、私を魅了する「自然の時間」や「生と死」といった感覚を、普段見過ごしがちな存在を通して、通りかかった皆さんが遭遇できる空間になればと思います。

優秀賞

Invisible City

  • Invisible City
  • 受賞者:

    遠藤 有奈
    アーティスト
    滋賀県出身、東京都在住
    素材:銅線、銅板、ハンダ、木材
    遠藤 有奈

旧約聖書の中で語られるバベルの塔を現代的に再解釈、階段をメタファーとして象徴的に増殖、変容し続ける現代都市、現代社会を表現しています。塔は、その地域のモニュメント的な建築物の側面をもち、「見えない都市」は、その都市の象徴、あるいは、都市そのものをシンボルとした作品です。

顔の小屋

  • 顔の小屋
  • 受賞者:

    大野 光一
    アーティスト
    東京都出身、在住
    素材:ミクストメディア
    大野 光一

私は人の顔をモチーフに作品を制作しています。人にとって顔というものは特別大切な物です。顔は人間社会では名刺であり、パスポートであり、その人の心の内を写す鏡であり、それと同時に心の内を隠すマスクでもあります。
顔には怖くて美しい、とても大きな力があります。それは誰もが持っている原始的な感覚です。 私は人の顔の向こう、薄い皮膚の裏側にその人の魂のような物があると感じます。

imagine the crowd

  • imagine the crowd
  • 受賞者:

    松本 千里
    学生
    広島県出身、在住
    素材:ポリエステル布、ニット用ミシン糸
    松本 千里

これは手絞りの群集です。よく見ると向きやしわの入り方など、細かい個性があります。絞りの群れは拮抗したり、同調したり、何か話し込んでいたり、調子にのって飛び出したりと、まるで私たち群衆のようです。
個と群集。それは細胞から銀河系まで、私たちはいくつもの集合体で成り立ち、そして常に囲まれています。
作品からイメージすることは、それぞれ自分の意識の中にあり、集団で生きている現代人の想像力と向き合います。

四つの階段

  • 四つの階段
  • 受賞者:

    山根 英治
    美術作家
    大阪府出身、東京都在住
    素材:綿紐、染料、紙、パネル
    協力:
    スタジオコンテ
    (Studio Conte)
    山根 英治

私にとってこの構造物は、自らがこの世界のどこにどのように存在しているのかを確認できる方位磁針のような存在です。
ひもで描くシンプルな線の情報から、空間や存在について問いかけてみたいと思いました。

審査員総評

  • 川上 典李子
  • 川上 典李子
    (ジャーナリスト/ 21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクター)

    設営の時から作品を見ていたが、唐突にそこにあるのではなく、以前から存在していたかのように自然にあり、通り過ぎる人々が自然に作品に近づいていくという光景があった。そのように存在感のある、実力ある作品を審査過程で選べたのだと実感が持てた。

    若い皆さんなので、思考や考え方や造形力は、いまも、しばらくこれからも日々揺れ動きながら進んでいくものだと思うが、それが如実に出ることを昨年以上に感じた。そのなかでも2次審査から各々に成長し、次の段階に進んでくれたことを感じることができたのが、良かったと思う。グランプリ、準グランプリを獲れなかった方も今回で区切りをつけるのではなく、ぜひとも次に進んでいってください。

  • 児島 やよい
  • 児島 やよい
    (キュレーター/十和田市現代美術館副館長/明治学院大学非常勤講師)

    東京ミッドタウンという場所でサイトスペシフィックなアートを考えるということは、この場所の特殊性について考え、意識すること。どこから東京を、東京ミッドタウンを見るか。美術館やギャラリーではない場所で作品を発表する意味を、どう見出すか。持てるものすべて動員してコンセプトを考え、作品提案してほしい。このコンペは全国からここを目指す人たちにとって、また、東京で生活する人たちにとって、重層的な課題やきっかけを与える場ともなっている。

    最終審査に残った6作品はそれぞれの作家が力を発揮し、完成度の高いものとなっていた。今回グランプリや準グランプリを獲れなかった人にも、また挑戦してほしい。成長した姿を審査員一同、楽しみにしています。

  • 清水 敏男
  • 清水 敏男
    (東京ミッドタウン・アートワークディレクター/学習院女子大学教授)

    書類審査、模型審査ともに完成作を想像しながら行うのだが、今回はすべての作品が、私が予想していたレベルをクリアしていた。さらに私が予想した以上のものをもっていた作品がグランプリと準グランプリという結果になった。コンセプトはすごく重要であり、コンセプトがあっても造形力が追いついていなければよくないし、反対に、造形がいかに面白いものであっても、コンセプトがないものは今後どうなっていくのか、先が読めないのでそれも良くない。やはりコンセプトと造形力の双方が重要である。さらに言えば、コンセプトと造形力のどちらも一定の力があるが、そのどちらかがとび抜けていてアンバランスであるときも面白い作品が生まれる。今回最終審査に残った作品でもコンセプト、造形力のどちらかが不足していたものもあった。今後の精進に期待したい。

  • 鈴木 康広
  • 鈴木 康広
    (アーティスト/武蔵野美術大学准教授/東京大学先端科学技術研究センター客員研究員)

    このアワードの魅力は2次審査で作者の生の声を聴くことで、作り手が今感じていることに触れながら作品に出会えることです。審査の過程では、何をもって優れた作品とし、評価の対象が作品そのものなのか、作家のポテンシャルにも目を向けるべきなのか、度々議論になりました。作品制作の発端となる作家独自の視点、それを作品へと昇華させる意欲、素材と向き合うなかで磨かれた造形力とともに、観客との間に示されるコンセプトの位置付けについて意見が分かれました。現代のアートはコンセプトがあってこそ、はじめてアートとしての価値を持ちうるのか?今年はそのようなことを強く意識させられました。その中で、やはり現時点の成果のみならず、答えのない一つの現象として、未来に開かれた存在として作家と作品を捉えることが重要なのではないかと、考えを巡らせながら審査に臨みました。

  • 土屋 公雄
  • 土屋 公雄
    (彫刻家/愛知県立芸術大学教授/武蔵野美術大学客員教授)

    どの作品も完成度が高く、一見してそんな大きな開きはなかったと言えるほど、今年のクオリティーは高かった。Tokyo Midtown Award審査基準の中に、「サイトスペシフィック」があるが、建築やランドスケープの分野ほど、特に彫刻などでは、その言葉をなかなか読み解けない。だが、本コンペ自体が、「サイトスペシフィック」という言葉を拡大して受け止めようとしていて、幅広くアーティストがノミネートしてきてくれているように思う。そういった意味でも今回の6作品はかなり多様性に富んだものになったように思えて、観る人に楽しんでもらえるものになったと思う。

  • 中山 ダイスケ
  • 中山 ダイスケ
    (アーティスト/アートディレクター/東北芸術工科大学グラフィックデザイン学科教授)

    今年の応募作には、手触り感や物質感が魅力的な、現場で対峙してみないと伝わらないタイプの作品が多く、デジタル時代ならではのアート表現の原点回帰的な風潮を感じました。

    自分自身の実感としても、いつの間にか面白いテクノロジー表現が自然に日常生活の中に溶け込んでしまっているので、まだまだ人の手が為すことで語ってくれるような作品を支持していた気がします。

    審査結果としても、作家の考え方を手仕事に当てはめた作品が上位賞に選ばれたので、きっと他の審査員の皆さんもそんな時代感を共有していたのでしょう。少しだけ「今のアートってなんだろう?」と問いかけられる、Tokyo Midtown Awardらしい審査になった気がします。

審査風景

アートコンペ総括

今回も、テーマは「応募者が自由に設定」とし、東京ミッドタウンを代表するパブリックスペースであるプラザB1Fを舞台に、場所を活かしたサイトスペシフィックな作品を募集、昨年比134%増加の総計327作品の応募がありました(応募条件は39歳以下、かつ1名(組)1作品案まで)。

今年は6名の審査員により、「コンセプト」「場所性」「芸術性」「現実性」「独創性」の審査基準で審査が進められ、1次審査は書類審査を行い12作品を選出、2次審査では、1次審査を通過した作家が模型を使って公開プレゼンテーションを行い、最終審査に進む6作品を選出しました。2次審査通過者6名には制作補助金として100万円が支給され、2017年9月25日(月)より公開制作を実施。10月1日(日)の最終審査にて、グランプリ1作品、準グランプリ1作品、優秀賞4作品が決定しました。最終審査には完成度の高い作品が並びましたが、上位に残ったのは、コンセプトと造形ともに力のある作品という結果となりました。

今年度の応募傾向としては、立体、絵画が昨年の数を上回りました。また、前回に引き続き、東京ミッドタウンという場所をどう捉え、「公共空間においてのアート」にどう向き合い提案するか、という点が、各審査過程でフォーカスされました。年々応募の質が上がっており、様々なバックグラウンドを持った方が応募されました。

6名の受賞者には大きな拍手を送るとともに、今回ご応募いただきましたすべての皆様に、心より感謝申しあげます。