NEWS

NEWS

2017年7月5日Award News

【アートコンペ】最終審査に進む6作品が決定しました。

【アートコンペ】最終審査に進む6作品が決定しました 【アートコンペ】最終審査に進む6作品が決定しました

327点の応募作品の中から、1次審査(書類審査)、2次審査(公開プレゼンテーション)を経て、最終審査に進む6作品が決定しました。
これらの6作品は、実際に東京ミッドタウンプラザB1にて展示され、2017年10月1日(日)に行われる最終審査(実物審査)により、グランプリ、準グランプリ、優秀賞が決定します。
6作品の詳細と審査員総評もあわせて掲載しておりますのでぜひご覧ください。

最終審査に進む6作品 (作家名五十音順)

Invisible City
<作品名>
Invisible City
<作品コンセプト>
旧約聖書の中で語られるバベルの塔を現代的に再解釈、階段をメタファーとして象徴的に増殖、変容し続ける現代都市、現代社会を表現しています。塔は、その地域のモニュメント的な建築物の側面をもち、「見えない都市」は、その都市の象徴、あるいは、都市そのものをシンボルとした作品です。
<作家名>
遠藤有奈
<職業>
アーティスト・デザイナー
<所属、出身校>
2005年京都工芸繊維大学 卒業

審査員コメント

独自の世界観がある。審査会で見たポートフォリオにあった平面作品からも洗練された力が伝わってきた。従来作の塔を超える新作となることを期待する。台座の有無について最善の方法を考え抜いてほしい。

顔の小屋
<作品名>
顔の小屋
<作品コンセプト>
私は人の顔をモチーフに作品を制作しています。 人にとって顔というものは特別大切な物です。顔は人間社会では名刺であり、パスポートであり、その人の心の内を写す鏡であり、それと 同時に心の内を隠すマスクでもあります。
顔には怖くて美しい、とても大きな力があります。それは誰もが持っている原始的な感覚です。私は人の顔の向こう、薄い皮膚の裏側にその人の魂のような物があると感じます。
<作家名>
大野光一
<職業>
アーティスト
<所属、出身校>
2012年武蔵野美術大学 卒業

審査員コメント

トタン小屋を外側からのぞき込むところに興味を惹かれる。顔という根源的なテーマに挑んだ作品だが、大野さんにしか描けない顔がびっしりと詰まった小屋を作ってほしい。

地図の沈黙を翻訳せよ
<作品名>
地図の沈黙を翻訳せよ
<作品コンセプト>
ここに刻まれているのはすべて都市の名前です。
知っている都市名から、あなたはなにを思い浮かべますか。
最近の出来事や、ささやかな思い出、誰かの声などでしょうか。
では、都市名に潜む見えない記憶に耳を傾けてみてください。
そこでは他者の記憶も古い記憶も内包され、ひしめきあっているはずです。
雑音のような混沌とした記憶の総体を、私たちは「都市」と呼ぶのではないでしょうか。
<作家名>
金子未弥
<職業>
アーティスト
<所属、出身校>
2017年多摩美術大学大学院 修了

審査員コメント

アート作品は博士論文とは違い、一目が勝負である。都市名の選択は作品コンセプトとして重要な意味を備えてくる。また、刻まれた文字が都市名であることが一般の人々にどう伝わるのかも重要なので、よく考えてほしい。

作品の公開制作について

rainbows edge
<作品名>
rainbows edge Ⅵ
<作品コンセプト>
私はひからびた植物、山や石、虹といった自然物や自然現象を中心的なモチーフにし、それらに独自の造形的な解釈、見立てを行い木を素材とした彫刻作品を制作しています。それらのモチーフに潜み、私を魅了する「自然の時間」や「生と死」といった感覚を、普段見過ごしがちな存在を通して、通りかかった皆さんが遭遇できる空間になればと思います。
<作家名>
七搦綾乃
<職業>
アーティスト
<所属、出身校>
2011年広島市立大学大学院 修了

審査員コメント

詩的な表現(タイトル、コンセプト、作品)を追求しているところが現代において貴重である。台座について、素材の選択はもちろん、質感、高さ等、ギャラリー空間での展示とは異なる慎重な検討が必要。

magine the crowd
<作品名>
imagine the crowd
<作品コンセプト>
これは手絞りの群集です。よく見ると向きやしわの入り方などに、細かい個性があります。絞りの群れは拮抗したり、同調したり、何か話し込んでいたり、なかには調子にのって飛び出したりと、まるで私たち群衆のようです。
個と群集、ミクロとマクロのやり取りを楽しむなか、絞りからイメージすることは、見る人々の意識の中にあります。
この作品は集団で生きている現代人の想像力と向き合います。
松本千里
<作家名>
松本千里
<職業>
学生
<所属、出身校>
2017年広島市立大学 在籍

審査員コメント

表現の可能性に体当たりしているところが評価できる。アートと工芸作品の境目を意識し、観客とのコミュニケーションも含めて考えてほしい。

四つの階段
<作品名>
四つの階段
<作品コンセプト>
私にとってこの構造物は、自らがこの世界のどこにどのように存在しているのかを確認できる方位磁針のような存在です。
ひもで描くシンプルな線の情報から、空間や存在について問いかけてみたいと思いました。
山根英治
<作家名>
山根英治
<職業>
会社員
<所属、出身校>
2004年東京藝術大学大学院 修了

審査員コメント

自ら染色する紐による描写であること、黒一色ながらも表情豊かな作品となることに対する誠実な取り組みの様子がうかがえる。線の美しさ、強さの表現をさらに展開してほしい。

2次審査 審査員総評

<川上典李子>
提案をしっかり受け止めたうえで意欲作を後押ししたいとの思いから、今回も細かな質問続きの公開審査となりましたが、結果として完成まで全力で挑んでくれることが実感できる6名を選出できたと思います。生命力が滲み出る提案であり、現代の都市に生きる人間に対して各自の問いが伝わってくる提案です。今回は選外になったものの、1次通過者に建築を学んだ(学ぶ)二名が含まれていたのも嬉しい結果でした。
<児島やよい>
思いがけない多様なテーマと表現、ユニークな作品のプレゼンが繰り広げられて、選考はとても悩んだ。最終審査に残ったのは、レベルの高い作品ばかりで期待している。入選者の方々には、今一度このミッドタウンという場の特性を見極めて、展示方法など最後まで工夫と検討を重ね、ベストな作品を見せてほしい。
<清水敏男>
2次審査を通過した作家たちはユニークな発想とテクニックを持っている点が高く評価された。このアワードはパブリックスペースに置く作品という条件があるが、その条件を作品に活かしているものが高く評価された。頑固に自己の表現を追求することは難しいがそうした頑迷さが必要である。惜しくも通過できなかった作家たちは今後も技術、コンセプトを磨いて欲しい。先達たちの影響を克服して自己の表現を得ることを期待したい。
<鈴木康広>
大変意欲的なプレゼンに触れ、緊張感のある公開審査になりました。一次審査で並んでいた評価や期待感が、実物の過去作や最終審査に向けての具体的なマケットを前にして、その差が大きくひらいた気がします。作品そのものの完成度やコンセプトへの評価のみならず、東京ミッドタウンという場で、決められたタイミングに実現可能な構想や具現化する方法論がはっきりと示せた人にチャンスが与えられました。最終審査に向けてさらなる飛躍が生まれることを楽しみにしています。
<土屋公雄>
今回の公開2次審査は会場の関係からか、例年以上に見学者の数が多く感じられ、彼らがエントリーされた作家のプレゼ、また審査員とのやり取りを、メモを取りながら真剣に聞かれていたのが印象的であった。やはり本コンペは商業施設という特殊な「場」を使った展示のため、審査や質問の具体的内容は、次回コンペに挑戦する方々には重要な情報源になるのであろう。今年も一次審査を通過した皆さんの作品には、表現に対する情熱と独自な世界観を感じ、特に素材と向き合うことで表現をよりリアルな造形にしている方の評価は、審査においても共通して高かったよう思う。
<中山ダイスケ>
山のような応募書類からプレゼン審査に残った12作品は、どれも見ごたえがありました。審査では、展示実現に支障はないか? アート作品としての強度があるか? コンペ後の作家の将来性はどうか?について議論されました。展示に選ばれた6作品は、どれも作家自身のこだわりを携えた、メッセージ性の高いものばかりです。アート関係者のみならず、一般のお客さんに対して何かの気づきとなる作品であってほしいと願っています。