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2023年7月14日Award News

【アートコンペ】最終審査に進む6作品が決定しました。

【アートコンペ】最終審査に進む6作品が決定しました。

アートコンペへの応募313作品の中から、1次審査(書類審査)、2次審査(公開プレゼンテーション)を経て、最終審査に進む6作品が決定しました。

<2次審査のプレゼン・質疑応答の様子>
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午前の部:
https://twitter.com/midtown_award/status/1676029900971712512?s=20
午後の部:
https://twitter.com/midtown_award/status/1676087535150465024?s=20

<今後の予定>
2023年9月8日(金)最終審査(実作品審査)
2023年10月5日(木)授賞式にて各賞発表
2023年10月5日(木)~11月12日(日)展示

最終審査に進む6作品 (作家名五十音順)

「風の噂 2023Ver.」

<応募作品名>
「風の噂 2023Ver.」
<応募時作品コンセプト>
自身の性被害経験を元に「性暴力被害者に対する社会の空気感」を視覚化するエアー抽選器を制作した。抽選器には、実際に被害者に投げかけられた言葉が「くじ」として入っている。現在日本では、24人に1人が性暴力に遭っているがその内の約6割が被害を公にしていない。この様な状況には、社会の風当たりの強さが少なからず関係している。本作はそんな二次被害の深刻さを人々と共有し、被害者を取り巻く社会を変えていく試みだ。

神谷絢栄(カミヤ アヤエ)

林詩硯

<作家名>
神谷絢栄(カミヤ アヤエ)
<職業>
現代美術家
<所属、出身校>
2020年 多摩美術大学 美術学部絵画学科油画専攻 卒業
2023年 東京藝術大学大学院 美術研究科先端芸術表現専攻 修了

審査員コメント

非常に明確な問題意識を持って、社会に向かって問題を訴えかけようとする力強さがまずありました。そこに「風の噂」という日本語の表現から、本当に風を使った作品に結びつけ、おみくじを引くような楽しさも結びつけており、作品としての完成度が非常に高いと感じました。実際に、この問題に自分とは関係がなかったという人たちも引きつけるような仕組みができていたと思います。

「TOKYO ELEVATION type 0」

<応募作品名>
「TOKYO ELEVATION Type 0」
<応募時作品コンセプト>
全てが地面の上に立っています。しかし、地面は掘らなければ理解することができません。
私は普段見えない足元の下、地面には物語のようなものが秘められていると考えます。
この作品は東京ミッドタウンを起点に、3つの地点を選びその地盤を映像によって再現し、擬似的にも見比べられるようにしたものです。
この作品を観ている人が今、立っている地面について思いを馳せられるような作品にしたいと考えています。

タカギリヲン
<作家名>
タカギリヲン
<職業>
映像作家
<所属、出身校>
2023年 武蔵野美術大学 造形構想学部映像学科 卒業

審査員コメント

「地層」に着眼点を持った作品がいくつかある中で一番面白いと思いました。ただ、道行く人がぱっと見ても全然わからないのではないかという心配もあります。忙しく行き交っている人たちの足をどうやって止めることができるか、できるだけストレートに自分のやっていることを瞬間的に伝えられるかを考えてもらえたらと思います。音についても再考し、いい作品をつくっていただくことを期待します。

「タイパする輪郭線」

<応募作品名>
「タイパする輪郭線」
<応募時作品コンセプト>
本作品はタイパ(タイムパフォーマンス)と都市に生きる人々の動きをアウトライン化するプロジェクトです。 タイパを重視した生き方をする都市の人々の動きを倍速文化とキーワード検索からヒントを得て制作しています。様々な媒体で出力する圧倒的な情報量の積層表現は、タイパされた人々の動きを視認することができます。動きと価値観の変化を見つめ、各個人が生活に置き換えて思考するきっかけになるのだと考えます。

ナカミツキ
<作家名>
ナカミツキ
<職業>
アーティスト
<所属、出身校>
2020年 京都教育大学 教育学部美術領域専攻 卒業

審査員コメント

コロナ禍以降「人の姿形が変わった」という気づきがまずすごいと感じました。様々なフォーマットが一つの空間の中にレイヤー化されている楽しみな作品です。説明を聞いてもまだ混乱してしまう部分があり、直近の自分の気づきや現代の情報環境の状況についての表現にまだ成熟していない部分があるようにも感じました。アニメーションの完成版も楽しみにしています。

「Trap project (愛のある)b [trap#16]」

<応募作品名>
「Trap project (愛のある)b [trap#16]」
<応募時作品コンセプト>
天気が良い日中、庭に一時的に現れた布団の集団。
布団干しスタンドは痩せた骨から肉付きの良いフォルムに変わります。
これは布団屋の家に住む私がよく見た景色でした。
干す以外に用途の無いオブジェたちが風で揺れ動き生きているようで少し怖くもありました。( trap#16 episode:大きな庭は区切られた部屋 )
「住」に含まれる内装装飾・幼少期の記憶に寄り添い愛のある罠を仕掛けます。

hellowakana(ハローワカナ)
<作家名>
hellowakana(ハローワカナ)
<職業>
アーティスト
<所属、出身校>
2021年 名古屋芸術大学 芸術学部美術学科アートクリエイターコース 卒業
2023年 武蔵野美術大学大学院 造形研究科 修士課程美術専攻彫刻コース 修了

審査員コメント

書類審査の時から作品の期待値が高い作品でした。過去作品がすごく良さそうな写真が多かったこともあり、実際に2次審査に過去作をもってきていただき、その完成度の高さは通過する大きなきっかけになったと思います。独特の感覚を持っていらっしゃるのも評価が高かったポイントとなりました。東京ミッドタウンという公共空間でどうすれば作品をアピールできるのか、自分の個性を大切にして面白い作品にしてくださることを期待します。

「Flourish」

<応募作品名>
「Flourish」
<応募時作品コンセプト>
生まれ育った国は時間が流れるペースの速い環境であると同時に活力と情熱にあふれている環境でもあるが、バタバタした日常に巻き込まれやすく、心を落ち着かせる時間をなかなか取れない所でもある。ひどく気分が悪い時でも私はつとめて平静を装った。自分の個性を探そうとしたのに、無意識のうちに他人の意見を気にして別の人格になり抜け殻の様な人間になってしまった。表面的に存在しているだけで、自分自身を見失ってしまった。

Masutani May(マスタニ メイ)
<作家名>
Masutani May(マスタニ メイ)
<職業>
アーティスト
<所属、出身校>
2011年 テマセクポリテクニック ビジュアルコミュニケーション学科 卒業 (シンガポール)
2020年 富山ガラス造形研究所 造形科 卒業

審査員コメント

応募書類のドローイングの段階では、どんな形で表現するのかなと思っていました。2次審査でテストピースを見せていただき、ドローイングに近い繊細な表現を追い求めているのがわかり、「もの」を越えて現象に近い繊細な風景が見えるのではないかと感じました。完成に向けて多分緻密な作業を続けることになると思います。時間の制約はありますが、完成度の高い作品になることを期待しています。

明日は遊園地へ行こうね

<応募作品名>
明日は遊園地へ行こうね
<応募時作品コンセプト>
マンガの制作技法で、言葉から解放された物語を経験してもらうような作品を目標としてきた。
連絡通路の真ん中に寝ている子供、近寄ると呼吸していることが見てとれる。その隣に、絵の中の子供と同じ誕生日の帽子が落ちている。それは絵と何か関連があるのだろうか。
疑問から始まる言葉のない物語。過去と現在、現実空間と架空の世界、静と動、懐かしさとちょっとした違和感、没入感と疎遠感。様々な時空を往還しながら多様な解釈を想像できる空間に挑んだ。

Liisa(リサ)
<作家名>
Liisa(リサ)
<職業>
学生
<所属、出身校>
2023年 東京藝術大学大学院 修士課程美術研究科デザイン専攻 在籍

審査員コメント

非常にユニークなスタイルの表現者で、「マンガ」というある種成熟したカルチャーの世界でも成果を出していながら、その領域に閉じこもることなく活動を展開していく姿勢がありました。今回もマンガの世界観と現実とを横断するような表現となっている点が面白いと思います。形もかなり完成度が高く、これから更に精度を高めていってほしいと思います。

アートコンペ2次審査 審査員総評

金澤 韻
今回1次審査を通過された皆さんは総じてレベルが高く、次のステップへ進む方々を選出するのに、審査員一同なかなか苦労しました。2次審査では、事前に投げかけられた質問があり、それにどれくらいきちんと答えられたか、どれくらい作品を変えていけるか、また自身も変わっていく意志があるかについて、重点的に見て評価させていただきました。通過されたみなさま、おめでとうございます。今回選ばれなかった皆さんも、十分な実力が備わっていると思いますので、引き続き頑張っていってください。
クワクボリョウタ
今年の2次審査に進んだ12組の人は、あまり不安要素がないというか、とてもよく考えられている作品が多く、審査では非常に悩みました。2次審査では、今日、社会がいろいろ不安定である中で、それに都度対応してやっていけそうな価値観を持っている作家を評価しました。常にその基準が正解かどうかは分かりませんが、今回はそのような基準にしました。今後とも一緒に頑張っていきましょう。
永山祐子
TOKYO MIDTOWN AWARD は最終審査に向けて制作費が出て、実作を並べる機会を得られる素晴らしい賞だと思います。2次で最終的に選んだ基準は、この賞を最大限利用できる作家かという点でした。今までの作品からどれだけジャンプできるか、新しい自分を発掘できるか、という「伸びしろ」を評価させていただきました。通過された方は、通過したことで終わるのではなく、2次審査で指摘されたことや、今一度、この賞にチャレンジすることがどういうことなのか、ということをよく考えて、最大限にアワードを利用してほしいと思います。
林 寿美
第1次審査を通過した方々は、将来的にはより広くパブリックな場で作品を発表する作家になられることを期待していますが、東京ミッドタウンはギャラリーや美術館とは雰囲気や諸条件が異なり、意外に展示が難しい場所であることをどれだけ意識して本日のプレゼンテーションに臨まれたかを重視しました。第2次審査を通過された6名の方々も、ぜひ今一度その点を熟慮して、実作品をきっちりと作りこんでいただきたいと思います。また、TOKYO MIDTOWN AWARD の素晴らしいところは、コンペ〜制作〜発表(受賞)で終わりではなく、その後も作家を手厚くフォローしてくださることです。みなさんにも、この先の未来につながるような作家活動を続けていただければと願っています。
ヤノベケンジ
結果はどうしても絞り込まないといけなかったんですが、正直、誰が通過してもおかしくない状況でした。今回、2次審査に進んだ12組は、僕としては全ての人がいずれ表に出てくる実力を備えていると思っています。今回選ばれなかった人も、審査員の目が濁っていたとか、天候が影響した、とか、たまたま天気が悪かったとかぐらいに思って、結果には動じずに作家活動を続けて頑張っていってほしいと思います。もちろん通過した人もこれで終わりではないです。まあ言ったら「もうちょっとかな」という人がほとんどです。これからの伸びしろがあって、最後の作品の成果になっていきます。頑張って世の中を変えていくアーティストになってほしいと思います。

関連リンク

TOKYO MIDTOWN AWARD 2023 アートコンペ
http://www.tokyo-midtown.com/jp/award/art/