アワードニュース

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2019年4月5日Award News

「The Best of the Best TMA Art Awards(BoB)」グランプリ作品が恒久設置!
石山和広 絵画からはなれて [磊](らい)

<集合写真>

東京ミッドタウンタワー地下1階に「The Best of the Best TMA Art Awards(BoB)」グランプリに輝いた石山和広《絵画からはなれて [磊](らい)》が恒久設置され、花冷えのする3月29日に除幕式が開催されました。BoBは「TOKYO MIDTOWN AWARD(TMA)」10周年を記念し2008~2017年のアートコンペ受賞者51組を対象にした特別コンペ。35作品の応募のなかから選ばれた石山和広(2010年受賞者)による写真作品は、「ハイブリッド・ガーデン」をコンセプトとしてきた東京ミッドタウン施設内20点目のパブリックアートとなります。

式は、中村康浩(東京ミッドタウンマネジメント株式会社代表取締役社長)の挨拶から始まりました。「日頃から東京ミッドタウンがデザインやアートに対して取り組んでいることにご賛同、ご協力いただきありがとうございます。今回は私自身も審査の過程に加わり、審査員の先生方にも長い時間をかけて慎重に選んでいただきました。けれど最も大変だったのは、3月公開を目指して頑張っていただいた石山さんだと思います。この作品が訪れる多くの方に長い間愛され続けることと、石山さんがこれから益々ご活躍されることを祈念いたします。また、このたびは10回目という節目でしたが、これからも若いアーティストを応援し続けたいと思っております」

<中村社長挨拶のお写真>

続いて、審査員の児島やよいさん(キュレーター)、清水敏男さん(東京ミッドタウン・アートワークディレクター/学習院女子大学教授)、土屋公雄さん(彫刻家/愛知県立芸術大学教授/武蔵野美術大学客員教授)、中山ダイスケさん(アーティスト/アートディレクター/東北芸術工科大学学長)、八谷和彦さん(メディアアーティスト/東京芸術大学美術学部准教授)と作家の石山和広さんが登場し、中村康浩取締役社長とともに、幕が取り外されました。現れたのは、ヒマラヤ山脈の高山の一部を数百枚のデジタル画像を重ねて超精細なイメージとして提示する、3.2メートル四方の平面制作品です。

<除幕の様子>1 <除幕の様子>2

制作した石山さんのスピーチは「ありがとうございました。これからも頑張ります」という感謝と決意から始まり、2006年、石山さんが学生の頃に森美術館で開催されたビル・ヴィオラ展でのエピソードが披露されました。
「レクチャーをお聞きしたあとロビーでヴィオラさんに『いい作品をつくりたいのですが、何をしたらいいでしょうか』とお尋ねしたのです。すると僕の肩を揺らしながら『その気持ちが大事なんだ』と即答されました。僕の質問が漠然としていたので答えにならない答えが返ってきたこと、肩を揺らされたことにびっくりしたのですが、今はその答えがわかるような気がしています。パートナーの女性にも同じ質問をすると『サクリファイス』と断言されました。『何の犠牲ですか?』とお聞きすると『もちろん私のよ!』(笑)」。続いて、皆さんのサポートのおかげで最後まで集中して制作ができたことへの感謝が述べられました。

<石山さんスピーチ写真>

また、審査員ひとりひとりからのコメントもありました。

児島やよい

審査に関わらせていただいて10年、多くの作家の方々の活躍を目にするたび、このTMAの意義を改めて感じます。継続開催されているミッドタウンの関係者に敬意を表します。10周年を記念するにふさわしい、この石山さんの作品を選ぶことができて光栄です。ここに通勤される方は、毎日この作品と出会えてうらやましいですね。その時々の自分の姿に重ね合わせるように、いろいろな風景が見える、奥深い作品だと思います。

清水敏男

東京ミッドタウン開設時のアートワークディレクターをつとめ、また今回の作品制作をディレクションさせていただきました。東京ミッドタウンは当初からアートとデザインをコンセプトの中心に据えてきましたが、その伝統を三井不動産が今も持ち続けていらっしゃることはたいへん素晴らしいことであり、日本にとって一つの誇りであると思います。東京ミッドタウンアートワーク全体のテーマは「ハイブリッド・ガーデン」です。石山さんの作品を山の気を呼びこむ山水画として見立てれば「新しい日本庭園」を目指したテーマとみごとに合致します。石山さんの作品は絵画でも写真でもない新しい視覚体験です。ぜひみなさんに楽しんでいただきたいと思います。

土屋公雄

アーティストとして作品を制作し続けることは厳しい時期かと思いますが、今回のような継続支援によって、また自信をつけていい作品をつくってくれることと思います。2010年には、10キロ四方くらいの見上げた空を、位置を変えて何度も撮影して合成した作品で受賞されました。今回の「山」の作品も繰り返し撮影することでどの部分を見てもピントが合っていて、違和感を起こすのかと思ったのですが、雪をかぶった三角形の山に存在感があり、彫刻にも見えてくるんですね。写真でありながら写真でない、人間の肉眼では見えない世界を写真というメディアを使いながらとらえている、不思議な感じの作品です。

中山ダイスケ

毎日ここのオフィスで働くみなさんが一番観ることになる作品だと思いますが、「山の写真の前で会いましょう」などと待ち合わせのモニュメントになってくれるといいですね。こんなにクリアなので、もしかして細密画かもしれないねなどと、いろいろな気づきがあればいいと思っています。最終審査に残った作家さんは、みなさん素晴らしかったですが、山の写真がなぜここにあるのか?という違和感が面白いだろうということで、石山さんが選ばれました。場に馴染んでしまうとデザインになってしまうので、ぜひ末永く違和感であり続けてほしいと思います。

八谷和彦

石山さんは先程スピーチでサクリファイス(犠牲)の話をしましたけど、最終審査会で僕は彼に「作品は、みんなの心のなかに置かれる山だから、多くの写真を撮るために現地に長く滞在しなければいけないけれど、その間、絶対事故のないようにしてね」とお願いしました。石山さんは用意周到で、そのときの約束を守っていただき、出来た作品を見てもいい作家を選出できたと審査員として誇りに思います。作品を見るみなさんには写真を超えるものとして楽しんでいただければ嬉しいです。

こうして、観客や取材陣に見守られるなか式が終わり、「絵画からはなれて[磊](らい)」のある日常の時間が始まりました。オフィスから出てくる人、向かう人、業者の人々などが、時折作品を眺めていました。ぜひ近づいたり離れたり、距離を変えてご覧になってください。

(取材・文:白坂由里、写真:堀口宏明)

<展示写真>

石山和広 絵画からはなれて [磊](らい) 320cm×320cm×2mm インクジェットプリント

2018年8月に開催されたBoB審査会レポートはこちら
https://www.tokyo-midtown.com/jp/award/award_news/2018/0719_news.html