デザインコンペ

2018年 結果発表

TOKYO MIDTOWN AWARD 2018デザインコンペ結果発表

デザインコンペ概要

テーマ HUMAN
審査員 石上 純也、伊藤 直樹、えぐち りか、川村 元気、中村 勇吾
グランプリ(賞金100万円)─── 1点
優秀賞(賞金30万円)─── 3点
ファイナリスト(賞金5万円)─── 6点
  • ※グランプリ受賞者を世界最大規模の「ミラノサローネ国際家具見本市」開催中にイタリア・ミラノへご招待します(グループの場合は2名まで)。
応募期間 2018年7月2日(月)~7月30日(月)

グランプリ

黄金比箱

  • 黄金比箱
  • 受賞者:

    JDS
    広川 楽馬(中央)
    プロダクトデザイナー
    福岡県出身
    迫 健太郎(右)
    プロダクトデザイナー/コピーライター
    福岡県出身
    中塩屋 祥平(左)
    プランナー
    福岡県出身
    JDS 川 楽馬、迫 健太郎、中塩屋 祥平

人間が、本能的に美しさを感じると言われている比率「黄金比」を利用した弁当箱。仕切りを何枚入れても、常に黄金比のスペースが生まれ、品数が多いときもそうでないときも自然と美しく料理を盛り付けることができます。人類が長年愛してきた黄金比を、どうぞ一度めしあがれ。

石上 純也 講評

プロダクトとしての完成度は高かったと思う。
ただ、弁当箱の分割する方法を提案することが目的の中心なら、黄金比にこだわらず、もっと自由な発想の分け方があったと思うし、逆に黄金比が重要ならば、黄金比にしかできない可能性をなにか追求してほしかった。
全体的に、案としては真面目だが、感性として硬いように感じた。

伊藤 直樹 講評

きちんと整理して詰めるという美学。世界に誇る日本の弁当文化に、黄金比を持ち込んだ箱です。模型の質感も相まって、とても可能性を感じました。曲線部分に料理が収まったときの取りにくさも、特別な体験として伝わるのではないかと思います。

えぐち りか 講評

人間が無意識のうちに美しいと感じてしまう黄金比率を、そのままお弁当箱にして食べる行為に結びつけた点が非常に面白いと思いました。「国籍を超えて全HUMANにいいねと言ってもらえるプロダクトを目指した」という出発点と、審査員それぞれに合わせたお弁当を作ってきたというプレゼンテーションもユニークでした。
このプロダクトが商品化されて、みんなが自由に黄金比率を使ったお弁当を作って楽しんでいる様子を見てみたいです。

川村 元気 講評

「黄金比」という、人間が本能的に美しいと思うものと、弁当箱=食べ物を組み合わせたところに新しさと普遍性を感じました。悩みがちな弁当の中身の配分を「黄金比」に決めてもらうという感覚。デザインと生活の合流点にある気がして、とても好きです。

中村 勇吾 講評

美しいと感じるものの中につい黄金比はないかと探してしまう、あるいは黄金比を用いると美しくなると思ってしまうようなところに、人間の性分のようなものを感じます。食の中にこの黄金比を用いるという着眼点がユニークでしたし、モノとしての佇まいも魅力的だと思いました。

優秀賞

SHADOW CLONE TECHNIQUE

  • SHADOW CLONE TECHNIQUE
  • 受賞者:

    竹下 早紀
    学生
    東京都出身
    竹下 早紀

影分身する椅子。人は光によってモノを捉えることができ、光のあるところに影が存在します。その影にモノと同じ機能を持たせました。一人でも使用でき、誰か来れば2脚に増やすことができます。椅子という人が座るための形。分身することで私と誰か、人と人だからこそ共有できる空気や時間があります。

石上 純也 講評

スタッキングの新しい可能性とデザインを一体化している点は素晴らしい。
構造体を薄く抑えていることによって生まれる効果、2脚のみスタッキングすることの意味などを再考しデベロップしていければ、とても可能性のある案だと感じた。

伊藤 直樹 講評

マイ・ベストはこちらです。今日的な個人主義で分散型の社会において、いまどきのブロックチェーンとは無縁な、椅子というプロダクトに「シェア」という概念を持ち込み、かつそれを「影」と見立てたあたりは、作家の才能を、プレゼンの素晴らしさとともに感じました。

えぐち りか 講評

1脚が2脚に増えてコミュニケーションが生まれるところに目をつけた点に独創性がありました。椅子がスタッキングしたままでも使えて、影武者のごとく上手に2つに分かれる商品は、今までありそうでなかったと思うので、ニーズという点でも実現力のあるアイデアだと思います。

川村 元気 講評

影、分身という人間的な感覚を、研ぎ澄まされたデザインで椅子に落とし込んだところが素晴らしいと思いました。

中村 勇吾 講評

機能性、効率性とはまた違う別の角度から、スタッキングの新しい捉え方が提示されたように思いました。

NENKI-年記-

  • NENKI-年記-
  • 受賞者:

    H&F
    花井 ゆうか
    グラフィックデザイナー
    愛知県出身
    舟橋 璃咲
    グラフィックデザイナー
    愛知県出身
    H&F 花井 ゆうか、舟橋 璃咲

あらゆる生き物の中で、人間だけが「文字」を使って物事を書き記すことができます。毎日つける日記とは違い、年記は1年に1ページずつ、その年の特別な出来事を記していきます。山あり谷ありの長い人生を、全長10mもの蛇腹折りで表現しました。ページを広げれば自分だけの年表の出来上り。生きてきた歴史をいつでも振り返ることができます。ロボットと違って忘れっぽい人間のための記録帳です。

石上 純也 講評

自分自身の年表ができあがったときのことを想像すると、きっと感動するのだろう。
何かを書き記すときのきっかけをつくること自体がアイデアとして付け加えられれば良い案になるような気がする。アルバムは写真を撮ることがそれほど日常的ではなかった時代に、写真というメディアを貼ったり剥がしたりできる粘着質の素材にフィルムを組み合わせるというデザインで、様々な可能性を広げた。たとえば、なにかそういうアイデアが付加されれば、この提案が飛躍するような気がする。

伊藤 直樹 講評

10mという長さは、家で広げられる適度な長さを超えているかもしれません。その事実が逆に、人生の長さや愛おしさを表現しているようで、たまりません。
この年記に、何が書かれていくのでしょうか。様々な年記を並べて、ぜひ読んでみたいものです。

えぐち りか 講評

ついつい自分の生い立ちや思い出を大切にしてしまうのが人間だと思うので、テーマであるHUMANをうまく表現できていると思います。このプロダクトをもっと能動的に使いこなしたいものにするような、デザイン的あしらいについては、もう少し工夫できそうですが、ありそうでなかった良いアイデアだと思います。

川村 元気 講評

日記は三日坊主でも、年記ならつけられるかもしれない。発想のユニークさと、仕上げの美しさがあいまってレベルの高いデザインになっていたと思います。

中村 勇吾 講評

ありそうでなかったアイデアを、魅力的に具体化されているなと思いました。非常に長い年月をかけて、少しずつ使われ続ける道具なので、その時間軸の重みのようなものが感じられるともっと良かったと思いました。

肌羹

  • 肌羹
  • 受賞者:

    仲野 耕介
    デザイナー
    北海道出身
    仲野 耕介

素材の餡の違いにより、人肌色のグラデーションとなっている羊羹です。色に境目はありません。人同士、肌の色が違っても、色の移ろいを素材の個性として楽しみ、味わう。そのような前向きな関わりを持てれば、と思い制作しました。

石上 純也 講評

四角い塊のなかの色彩が微妙に変化していく様は、水墨画が描く抽象的な風景の美しさを立体的に表しているように感じた。羊羹が、切る場所によって色合いが微妙に変化するのも面白い。羊羹の本質を捉えた提案だと思った。だからこそ、その羊羹の本質をもっと広げるようなデベロップメントがあると可能性が高まるのではないかと思う。その美しいグラデーションを肌の色に置き換えるのは少し強引な気がした。

伊藤 直樹 講評

「肌の色の違いはあれど、世界はひとつである」というメッセージが「1本の羊羹」から伝わってきます。食品というより“食べられるアート”として捉えることで、この1本の羊羹は、日本のみならず、世界へ発信していける強いメッセージになり得るのかもしれません。

えぐち りか 講評

羊羹のそのものの素材に人の肌をうまく例えた点が秀逸でした。日本らしい羊羹とグローバルな視点の距離感が良かったです。

川村 元気 講評

「あずき」をいろいろな調理法、さまざまな色合いで食べ物にしてしまう日本人の感性を、美しいデザインとして目の当たりにすることができました。ぜひ美味しく仕上げて欲しいです。

中村 勇吾 講評

単純にグラデーションの色合いがとても美しい羊羹でしたし、ある視点や考え方を「食べる」ことで腹おちする、というプレゼンテーションが印象的でした。人種以外にも、様々な視点と、そのグラデーションの展開案があれば見たいと思いました。

ファイナリスト

nipple invisible審査員特別賞

  • nipple invisible
  • 入選者:

    山月 智浩
    学生
    兵庫県出身
    堀井ヒロツグ

    ©堀井ヒロツグ

あえて予め乳首を模した突起を大量発生させておくことで、乳首が浮き出たとしても目立ちにくくなるTシャツを制作した。木を隠すなら森の中、乳首を隠すなら乳首の中。世の「乳首浮き出る問題」解決の一手として。

中村 勇吾 講評

ネタだけに終わらず、このような「nipple柄」という新しい柄もあり得るかも?というところまで想像させたのは、プレゼンが秀逸だったからだと思います。グランプリや優秀賞という感じではないけど、山月さんという“人”を評価したい、という声が複数の審査員から上がりました。

※2018年は審査の結果、既存の賞に加えて、作家の将来性に期待して授与される賞として「審査員特別賞」が設けられました。

ねこに小判

  • ねこに小判
  • 入選者:

    uruco
    漆間 弘子(右)
    アートディレクター
    東京都出身
    漆間 康介(左)
    コンサルタント
    東京都出身
    漆間 弘子

お金の形をしたキャットフードです。ヒトがヒトになった重要な要素の一つとして「お金(貨幣)」があります。それは私達の生活を豊かにしましたが、一方でその存在が大きくなるあまり、強く執着したり縛り付けることすらあります。そんなヒトが大切にするお金を、自由気ままな猫がむしゃむしゃ食べるところを見ていたら、人生とは一体にゃんだろう……、いや、何だろうと考えるきっかけになるかもしれません。

川村 元気 講評

全体的に真面目なものが多かったなか、一際目を引いたアイデアでした。ユーモアとデザインが組み合わさると強いと、改めて感じました。

cocoro ame

  • cocoro ame
  • 入選者:

    プラマイロク
    三原 麻里子(右)
    デザイナー
    山口県出身
    野仲 胡美(左)
    デザイナー
    神奈川県出身
    三原 麻里子、野仲 胡美

贈る人のココロで構成されたキャンディ。ヒューマンらしさ、その一つは感情の複雑さであると考えました。ココロアメはその感情を相手に伝えるお手伝いをします。キャンディの円グラフに贈る人への気持ちを書き込んで完成です。
お母さんに感謝「70%」と「尊敬」20%「心配かけてごめん!」10%や、仲直りしたい相手に「ごめんね」50%と「ありがとう」50%
果汁100%ならぬココロ100%
気軽に渡せて、その人のことを改めて考える素敵なきっかけになると嬉しいです。

えぐち りか 講評

HUMANらしさの一要素に、感情の複雑さがあると思います。一言では言い表せない人間の感情を、円グラフにして表現させるアイデアが秀逸でした。プロダクトからストーリーが見えて、私もこのキャンディで誰かに気持ちを贈りたくなりました。人の心を明るくできる素敵な商品になりそうです!

one

  • one
  • 入選者:

    河路 潔
    アートディレクター
    東京都出身
    河路 潔

「one」は「お米の食べ残しをなくすお椀」です。お椀に張り付いたお米は、食べきるのに少々苦労します。それを楽しみながら食べきるため、偽物のお米が1粒付いたお椀を考えました。箸で摘んでいくうちに「これは本物だ!」「偽物見つけた!」といった会話も食卓に溢れることでしょう。「HUMAN」×「食」それは単なる栄養摂取を超え、楽しみを見出します。そこで私は楽しさで食べ残しを解決したいと考えました。

石上 純也 講評

ご飯粒が、お茶椀の底にひと粒だけのこされた可愛らしい着想である。
ぼくたち日本人が日常的に利用するお茶碗は、お米に特化したうつわである。そのことに着目した事自体はすばらしい。しかしながら、お茶碗とご飯粒がデザインとして一体化したことによる美しさがどこにあるのかを感じることができなかった。うつわとは、機能的であることはもちろん重要だが、同時に、その美しさの個性が存在感としてあらわれなければ、存在価値が一気に下がってしまうように感じる。

ぺこぺこストロー

  • ぺこぺこストロー
  • 入選者:

    中山 桃歌
    クリエーティブ・テクノロジスト
    兵庫県出身
    上田 美緒
    アートディレクター
    東京都出身
    三浦 麻衣
    コピーライター
    宮城県出身
    中山 桃歌、上田 美緒、三浦 麻衣

これはあなたの感情を少しだけ肩代わりしてくれるプロダクト。ペコっと折り曲げれば、気まづい空気やピリピリした空気でも、ついクスッと笑っちゃうきっかけに。家族や友達、恋人に、あるいはビジネスの場や初対面のおもてなしにも。飲み物を介したコミュニケーションは、動物でもロボットでもなく、人間ならではのものだから。そのはじまりに「ぺこぺこストロー」がきっとあなたの背中を押してくれるでしょう。

伊藤 直樹 講評

サッカー日本代表の長友選手がイタリアでお辞儀を広めてくれたように、このストローを通じて、日本が誇るお辞儀文化を世界に知らしめることができる可能性を感じます。体験の面白さは、この作品が一番あるのではないでしょうか。とても高評価ではありましたが、海外のヨガ広告ツールに類似のものがあるということで、惜しくも選外となりました。

顔文字体温計

  • 顔文字体温計
  • 入選者:

    田口 博基
    デザイナー
    埼玉県出身
    田口 博基

どんなに熱があっても体温計は数値を示すだけでなんだか薄情。そこで日本独自の顔文字を添えることで、なんだか共感してくれているみたいで少し心がやわらぐようにしました。36.9℃以下を(^-^)、37.0℃〜37.9℃を(*_*)、38.0℃以上を(#´Д`#)で表します。

中村 勇吾 講評

無味乾燥で機能一辺倒の道具に、人間的な要素・コミュニケーション的な側面を入れるというアイデアは良かったと思いますが、体温計にまつわるコミュニケーションを精微に、かつ広く考察してもらえればもっと良かったと思います。

審査員総評

  • 石上 純也
  • 石上 純也
    (建築家)

    今回のアワードでは2次審査が行われ、実際のプレゼンテーションや模型を見られたのが良かった。1次審査で印象が良い提案は選べたと思うが、はっきりとしたことはわからなかった。2次審査で実現性や発展性がよくわかった。選出作品はどの審査員も評価しており、普遍的な作品が選べたと思っている。限られた数の作品を選ぶため、このように順序がついたが、ファイナリストに選ばれた作品はどれもすばらしいと感じている。また、すべての作品に言えることかもしれないけれど「HUMAN」というテーマに無理やり意味をこじつけるようなところも強く感じ、その事によって、よくなるならいいのだが、結果、作品の純粋性が弱められているように感じた。HUMANという根本的なお題は、そのタイトル自体に意味があるのではなく、人間が利用するものすべてに対する根本的な問いかけだということを深いレベルで考えてほしいと思った。

  • 伊藤 直樹
  • 伊藤 直樹
    (クリエイティブディレクター)

    今回は2次審査が新設されたため、「1次審査を通過したらブラッシュアップしよう」とお考えの方も実は多かったのではないでしょうか。その分、1次審査は正直ちょっと心配になりましたが、2次審査でホッとしました。予想どおり、相当ブラッシュアップされていましたwプレゼンで人が見られたことも大きかったです。最終的に総合的なポテンシャルの高いものが揃い、「やっぱりTOKYO MIDTOWN AWARDはなんかステキ。」と感じました。

  • えぐち りか
  • えぐち りか
    (アーティスト/アートディレクター)

    応募作品はユニークな提案が多く、全作品を見る1次審査はとても楽しんで取り組みました。ただ、TOKYO MIDTOWN AWARDが他のアワードと違うのは「実現性」。実現性を考えるとあと一歩の作品が多く、ユニークさのなかにニーズが考えられている、実現力ある提案に出会うのは難しいと思いました。
    1次審査で選んだ10作品には多少の不安がありましたが、今年から始まった2次審査ではどの方のプレゼンも模型も上手くて素晴らしかったです。最終的に、文句なしに実力のある提案を選べてよかったし、選ばれなかった中にも、クリエイターとして、今後の活躍が楽しみな“人”に出会えたことが収穫でした。

  • 川村 元気
  • 川村 元気
    (映画プロデューサー/小説家)

    応募作品はテーマ「HUMAN」と密接な提案が多い印象でしたが、最終的に選ばれたものはどれも「HUMAN」に対して、どこかちょっと距離があるものでした。グランプリ、優秀賞に選ばれた作品はいずれも人間的な“物語”を背負ったものが選ばれたと感じています。HUMAN=人間を深く考えると物語が生まれ、そこから新しいデザインが発明されるというプロセスが興味深かったです。どう商品化されていくのかを楽しみにしたいと思います。

  • 中村 勇吾
  • 中村 勇吾
    (インターフェースデザイナー)

    TOKYO MIDTOWN AWARD 2018 デザインコンペのテーマ「HUMAN」には、“テクノロジーが発展した現代において、人間――HUMANをあらためて見つめたとき、どうなるか?”という問いがあったかと思います。直接それに答える提案も多かったのだけど、最終的に選ばれた提案は普遍的な人間の特徴をひろいあげたものが多く、興味深く審査しました。受賞した提案はテーマに対する何らかの回答であり、時代性を持っているようにも感じるし、普遍的なようにも感じます。

審査風景

デザインコンペ総括

実施11回目となるデザインコンペでは、「HUMAN」をテーマに作品を募集し、1,054作品の応募がありました。

今回で11年目ということで、新しい10年のスタートを迎えるにあたり、本コンペが今後あるべき姿について、これまでの10年間を振り返りながら、何度も議論を重ねました。

結果、作品はもちろんのこと、いい作品を生み出せる人にもフォーカスしていく方針をうちたて、今回より2次審査(プレゼンテーション審査)を導入し、審査員を一新、審査基準の一部を変更しました。テーマについても、社会で話題にあがっているキーワードを設定していく方針に変更し、本コンペが今社会が抱えているテーマにデザインの観点をもって向き合うプラットフォームになるように設計しました。才能あるクリエイターを発掘し応援していく、というコンペのコンセプトは変わりませんが、新たに、受賞者との受賞後のコラボレーションの促進も視野にいれた審査体制を整えたことが大きな変更点といえます。

審査基準は「デザイン力」「提案力」「テーマの理解力」「受け手の意識」「実現化(含む商品化)につながる」の5つです。
1次審査では書類審査でファイナリスト10組を選出しました。新たに導入した2次審査ではファイナリストによるプレゼンテーション・審査員との質疑応答を設定しました。全ての審査を経て、グランプリ1点、優秀賞3点を決定いたしました。また、ファイナリスト6作品のうち1作品を審査員特別賞に選出いたしました。

アワードに期待することの一つに、通常のビジネスからは生まれてこない突破力があります。今回の提案全体を振り返ると、その観点からは総じて大人しい印象でした。審査会では、テーマを軸に審査基準を観点として多彩な議論が交わされました。特に論点となったのは、テーマの解釈とその表現、商品化を含めた実現化でした。結果についてはご覧の通りです。

今回の受賞作が、新たな一歩を踏み出したデザインコンペの出発点となります。これまでと同様に、商品化・実現化の可能性を探っていきます。また、これまで以上に受賞後の支援を拡充し、受賞者の成長を継続的に支えるとともに、受賞者とのコラボレーションの機会を創出していく考えです。これらの活動を通して、デザインに関わる皆さまの目標であり続けられるよう努力してまいります。

最後になりましたが、参加いただいた全ての皆さま、今回はチャレンジしてくださり、ありがとうございました。

※サイト上の受賞作の作品写真は全て、2次審査進出決定後に入選者自身により制作いただいた模型を主催者が撮影したものです。1次審査の対象となったプレゼンテーションシート内容とは異なります。各プレゼンテーションシートは10月19日(金)~11月11日(日)の期間中展示スペースにてご覧いただけます。