デザインコンペ

2019年 結果発表

TOKYO MIDTOWN AWARD 2019デザインコンペ結果発表

デザインコンペ概要

テーマ

THE NEXT STANDARD

SDGs(持続可能な開発目標)、エシカル、Upcycle、使い捨てプラスチックの禁止など、いま、くらしをとりまく環境への意識の変化が求められています。
2019年のテーマは「THE NEXT STANDARD」。
あなたの考える「今」、そこから見えてくる「次(=NEXT)」とは何でしょうか?
これから少し先の未来の「あたりまえ」や「新しいスタンダード」になるようなデザインを募集します。

審査員 石上 純也、伊藤 直樹、えぐち りか、川村 元気、中村 勇吾
グランプリ(賞金100万円)─── 1点
優秀賞(賞金 各30万円)─── 3点
ファイナリスト(賞金 各5万円)─── 6点
  • ※グランプリ受賞者を世界最大規模の「ミラノサローネ国際家具見本市」開催中にイタリア・ミラノへご招待します(グループの場合は2名まで)。
応募期間 2019年6月21日(金)~7月22日(月)

グランプリ

すべてティッシュでできたティッシュペーパー

  • すべてティッシュでできたティッシュペーパー
  • 受賞者:

    河合 航路(中央)
    デザイナー
    大阪府出身
    南 和宏(左)
    デザイナー
    大阪府出身
    西川 佳織(右)
    デザイナー
    滋賀県出身
    河合 航路 南 和宏 西川 佳織

199組のティッシュペーパーと1枚の少し厚手のティッシュペーパーでできています。最後の1枚はボックスの内側をティッシュとして使います。ムダはひとつもありません。サステナブルであり、機能を追求した真っ白な外観は、インテリアとしての美しさも兼ね備えています。このプロダクトを通して、たった1枚の紙を大切に想う気持ちを伝えたいです。これがティッシュペーパーの「THE NEXT STANDARD」です。

石上 純也 講評

「THE NEXT STANDARD」というテーマに最も正しい解答を出した作品だと思う。スタンダードとは、その物自体が、あるいは、その行為自体が世の中に広がっていく波及力と同時にある種の地味さ(あるいは透明な存在感)を兼ね備えた価値観である。そのことについて、明快さと完成度の両方のクオリティの高さに感心した。一般的なティッシュペーパーの箱は、おそらくみんながインテリアの美しさに欠ける存在だと共通感覚を持っているのではないか。その日常に即した着眼点と、解決方法にとても感心した。

伊藤 直樹 講評

家のティッシュは箱のまま使いません。かならず、布の袋に入れて使っています。もし、こんなプロダクトが本当に発売されたら、買います。しかし、2次審査の時の提案のように、表にロゴが入っていては、正直、買いません。デザイナーからすると引き算のデザインで、どこか足し算をしたくなったのかもしれません。ロゴを目立つところに配するより、紙の質感やティッシュをとるときの気持ちよさなど、パッと見ではわかりにくデザインのディテールに徹底的にこだわって、ぜひ実現してください! かならず、買いますので。グランプリ、おめでとうございます。

えぐち りか 講評

無駄をなくすというシンプルな提案ですが、意外と今までになかった新しい切り口で、「THE NEXT STANDARD」にふさわしいアイデアだと思いました。1次審査から2次審査までの飛躍がすばらしく、メーカーに問い合わせて素材を検証していたり、販売されている時を想定したパッケージや家に持ち帰る際に新たに使う買い物袋も無くすところまで考えられているなど、世の中に出るまでに想定されるネガをすべて解決しようとしている姿勢も良かったです。

川村 元気 講評

ティッシュを包装の部分も含めて使い切るという「気持ちの良いデザイン」であり、これからのエコの時代にも適したアイデアでした。製紙会社へのリサーチもきちんとされ、試作品のレベルも高く、最初のアイデアから2次提案に向けてのブラッシュアップがすばらしかったです。一日も早く商品化が実現することを願っています。

中村 勇吾 講評

問題解決のエレガントさはもとより、何よりも美しい佇まいのプロダクトだと思いました。また、1次審査で指摘した審査員からの懸念事項に対して誠実に解決し、構想を発展させていたことも、デザイナーとしての姿勢や力量を感じました。

優秀賞

おみくず

  • おみくず
  • 受賞者:

    YK
    吉田 隆大(右)
    プランナー
    大阪府出身
    北浦 俊(左)
    プランナー、コピーライター
    千葉県出身
    吉田 隆大、北浦 俊

毎日使うペットボトルが、毎日を占うおみくじに。占い結果は、時に会話のきっかけに・時に背中を押してくれる存在になり、日常をささやかに彩ります。でも実は、運勢をつい知りたくなる本能をくすぐられラベルを剥がす度、いつのまにかプラスチックくずを分別していたり。いつの時代も「やらなきゃ」より「ついやってしまう」が新たなスタンダードをつくってきました。楽しく占いちゃっかりエコな、一石二鳥なラベルです。

石上 純也 講評

ペットボトルのゴミの分別をどのようにして世の中に促進させるかを示した提案である。すべての人間が共通して持つ興味のあり方をうまく利用して、世の中が必要としているシステムを適切に作動させる仕掛けとしてとても興味深いと感じた。この先、これが実現する際には、メーカーの垣根を超えたデザインとしてどのように普及させられるかが鍵である。そのためにも、グラフィックのあり方など諸々さらにデベロップされることを期待したい。

伊藤 直樹 講評

実際に試してみて、神社でおみくじを引くようなワクワク感がありました。めくる過程で徐々に見えてくる感じも、よく計算されているように思います。ぜひ実現してほしいです。キャンペーンの枠にとどまらず、すべてのペットボトルに普及していくようなシステムのデザインとしてうまく社会に実装してほしいと思います。ひょっとしたら相談相手として、どこかの飲料メーカーでなく、大手の印刷会社のほうが広がるのかもしれないですね。

えぐち りか 講評

リサイクルマークのようにこれがすべてのペットボトルに当たり前のようについていたら、本当に社会が動くと思いました。デザインが惜しかったので、プレゼンの際に、いろんなメーカーのペットボトルに「おみくず」が自然に印字されている風景を作っていたら、グラフィックがもっとブラッシュアップされたのではないかと思います。

川村 元気 講評

エコ的な行為と、めくる気持ち良さ、おみくじという娯楽性。一石三鳥のアイデアで、ありそうでなかったブレイクスルーをしていると思いました。ぜひ飲料メーカーと組んで具体的な取り組みとして実現して欲しいと願います。飲料の種類やメーカーによって、おみくじだけでなく色々な用途があるのではないかと思いました。今後のアイデアやデザインの拡がりも期待します。

中村 勇吾 講評

人間がついやってしまう行為への洞察に「おみくじ」という伝統的な文脈を結びつけた、今回の応募作品の中で最も鮮やかなソリューションだと思いました。メーカーの垣根を超えて広く採用されることで、新しいおみくじの習慣となることができる大きな可能性を秘めていると思います。

sorou

  • sorou
  • 受賞者:

    高橋 琴子
    アシスタント デザイナー
    千葉県出身
    高橋 琴子

形が完成した時に、柄が「揃う」折り紙です。従来の折り紙は折る前の平面の状態で柄が完成され、形が完成し立体になった時に柄の見え方が変わります。この在り方が普通とされていますが、果たして立体になった時の柄の見え方は美しいのかと疑問を持ちました。立体になった時に柄が綺麗に見える折り紙があってもよいのではないかと考えsorouを制作しました。sorouは見える柄に焦点をあてた折り紙です。

石上 純也 講評

伝統的な折り紙にパズルのような快感を与える提案である。 正方形の紙に描かれた不思議な模様も魅力的で、それ自体が、グラフィックとしての美しさを備え持つ可能性を秘めている。その不思議な模様の紙を織りすすめていくと、最終的には、その模様がピタリと合って、その模様の意味を理解する。その快感はきっとパズルのような謎解きがもつ快感にも似ているように思えた。

伊藤 直樹 講評

揃ったときの喜びがあるプロダクトで、とても共感できます。パッケージやデザインも繊細で、欲しくなるシズルもあります。鶴だけでなく他のタイプもあると、Beforeの状態のデザインに多様性が出て良いかもしれません。

えぐち りか 講評

考え方が良かったので、プレゼンで現物を見たときに琴線をくすぐることができるかに期待していました。折り鶴に限らず複数のモチーフがあると、さらに楽しくなったのではないかと思います。

川村 元気 講評

柄が折られることで、揃っていく気持ち良さ。折り紙の新しい地平を切り開くアイデアだと思います。ただ1次のストライプのデザインの方が優れているように感じました。2次で和の要素を取り入れることで、ある種「普通の折り紙」との差別化がしにくくなってしまったような気がしました。ストライプやチェックなどユニバーサルなデザインと折り紙が融合することでの美しさ(本来提案されていたような)を目指した方が良い気がします。

中村 勇吾 講評

伝統的な折り紙と、モダンなストライプとのコントラクトがとても印象的でした。折り紙を折るという体験自体をも、より豊かにしてくれるように思います。鶴だけでなく、いろんな折り方で見てみたいです。

LINKAGE

  • LINKAGE
  • 受賞者:

    MAGNET
    高橋 鴻介(左)
    発明家
    東京都出身
    和田 夏実(右上)
    インタープリター
    長野県出身
    中山 桃歌(右下)
    クリエーティブ・テクノロジスト
    兵庫県出身
    MAGNET 高橋 鴻介 和田 夏実 中山 桃歌

    ©高橋鴻介、和田夏実、中山桃歌

遊びは人をつなぐもの。だとしたら、一緒に遊べるということが、今まで隔てられていた人たちをつなぐきっかけになるのでは? 目が見えず、耳が聞こえない盲ろうの方々が、触ることで会話する「触手話」から遊びのNEXT STANDARDを考えてみたら、すべての人が共有できる新しいゲーム「LINKAGE」が生まれました。これからの遊びがそんな思想で作られたら、きっと今までより優しい世界が広がるはずです。

石上 純也 講評

新しいゲームのルールを提案しただけではなく、現代的な人間同士のコミュニケーションのあり方を視覚的に美しく表現した作品である。その光景がもつ可能性にとても惹かれた。もう少しルールを簡略化することと、プロダクトそのものがもつデザイン性のクオリティが上がれば、大きな飛躍が期待できる提案だと思った。

伊藤 直樹 講評

人と人がお互いの手を近づけて、いくつもの棒を支え合う。その光景は、ネットワーク社会のメタファーのようであり、体験の面白さは今回の審査でいちばんあったと思います。しかし、ネーミング、ロゴ、プロダクトデザイン、ゲームのルール、すべてにブラッシュアップの余地を残すと思います。その辺が1次から2次審査で改善されていたら、グランプリだったかもしれない作品でした。ぜひ実現してください! そして、世界中で遊ばれるゲームに仕上げてください! 期待してます。

えぐち りか 講評

遊びを通じて繋がったことがない人たちを繋げたいという優しいメッセージが印象的でした。バカ売れするようなプロダクトではないのかもしれないけれど、これからの社会のあり方を遊びを通じて考えさせてくれる素晴らしいアイデアだと思います。

川村 元気 講評

指と棒が絡み合っているデザイン性、誰でも遊べる簡易性、触感や人間同士の交流など生理的な要素を取り入れたゲームとして可能性を感じました。ただ勝ち負けのカタルシスが生まれにくいことや、割り箸などでも代替できてしまうということにおいて「おもちゃ的なゲーム」としての実現にはいくつかのハードルがあるように思います。デザインのアプローチからブレイクスルーが見つけられれば、デザイン性の高いゲームとして後世に残るものにできるのではないでしょうか。

中村 勇吾 講評

テンセグリティ構造を思わせる有機的なゲーム場面が印象的でした。また、日本のあやとりも連想することができ、それぞれが多様なイメージを抱きながら遊べる、美しい身体インタラクションの発明だと思いました。

ファイナリスト

白い電線

  • 白い電線
  • 入選者:

    伊藤 かをり(左)
    デザイナー
    東京都出身
    大村 龍也(右)
    デザイナー
    広島県出身
    伊藤 かをり 大村 龍也

真っ青な空に映える白色の電線です。光の反射で電線が白く見えたことがあり、色が違うだけでこんなに景色が変わるんだと感動した体験からデザインしました。あたり前・定番とされるものでも、ちょっと視点を変えるだけで新たな魅力を発見できるかもしれません。白い電線を見て、通勤中や通学中に上を向いて歩く人が増えてくれると嬉しいです。

石上 純也 講評

最初に、この作品をみたときにはとても大きな可能性を感じた。電線という風景の中のネガティブな存在をいかにして、ポジティブなあり方に変えていくことができるかという課題にはとても大きなテーマが潜んでいるように思えた。風景を刷新するという意味において、これはランドスケープの提案である。提案のもつ詩情と電線というとてもリアルな存在との間に、どのような解答が得られるか、僕にとって、とても興味が惹かれた。しかしながら、最終的なプレゼンテーションは、詩情としてのクオリティもリアリティもどちらも中途半端で感心できるものではなかった。とても大きなポテンシャルをもつテーマだと考えていただけにとても残念である。

継木鉛筆

  • 継木鉛筆
  • 入選者:

    比護 拓郎
    デザイナー
    富山県出身
    比護 拓郎

鉛筆木口に「組木」を使い、鉛筆同士を継ぐことで極限まで短くなっても使える鉛筆。組木とは、切り込みを入れた木材同士をつなぎ合わせ、立体に組んだり、材を延長することができる木造建築の技術。日本古来の技術を身近かつ実用的に触れることができればと思い、制作しました。

えぐち りか 講評

今までにない発想で、実際にできたら買いたいデザインだったので1次審査でとても期待していましたが、2次審査での模型の洗練が不足していたように思います。太さや重さ、使い勝手、販売方法などをもう少しいろいろな角度から考えて実現性を上げてきてほしかったです。

Japanese Pay

  • Japanese Pay
  • 入選者:

    NEWPLAIN
    守本 悠一郎(中央左)
    デザイナー
    静岡県出身
    越出 つばさ(左)
    デザイナー
    福岡県出身
    小林 優也(中央右)
    デザイナー
    兵庫県出身
    有村 大治郎(右)
    学生
    鹿児島県出身
    NEWPLAIN 小林 優也 守本 悠一郎 有村 大治郎 越出 つばさ

    ©有村大治郎

日本で電子決済を「してみたくなる」デザインを考えた。この白く三角形の決済端末は、黒いスマホをかざすと「おにぎり」のように見える。日本人なら誰でもついついスマホをかざしてみたくなる、電子決済というネクストスタンダードへ導くためのデザイン。

伊藤 直樹 講評

おにぎり型の端末に、まるで海苔を巻くようにケータイをかざす。夢のあるプロダクトになりそうだと、1次審査ではワクワクしました。2次審査ではもう少し、プロダクトデザイン、ネーミング、SEなど細かいクラフトなどを詰めてきてほしかったと思いました。とてもアイデアは面白いと思いますが……。

アイコンブリスター

  • アイコンブリスター
  • 入選者:

    鳥山 翔太(左)
    デザイナー
    埼玉県出身
    柳澤 駿(右)
    デザイナー
    長野県出身
    鳥山 翔太、柳澤 駿

患部の形をした薬のブリスターシートです。世の中には様々な薬の種類があるのに、どれも似たような形でブリスターシートに入っています。複数の薬を持ち運ぶと何の薬なのか分からなくなったり、飲み間違えてしまう事もあります。薬の入ったブリスターの形をそれぞれの効能を示す幹部の形に成型する事で、一目で何処に効く薬なのかを認識出来ます。沢山持ち運んでも飲み間違えない新たな薬のパッケージです。

中村 勇吾 講評

錠剤の内容を伝えるパッケージの体系全体を問い直す視点・発想自体が素晴らしいと思いました。2次審査における具体化の段階で、現実的な説得力が今ひとつ感じられなかったのが残念ですが、デザインコンペで消費するには惜しい案なので引続き取り組んでいただきたいと願っています。

逆から履歴書

  • 逆から履歴書
  • 入選者:

    Nyokki
    三谷 悠(左)
    デザイナー
    東京都出身
    八幡 佑希(中央)
    デザイナー
    千葉県出身
    柿木 大輔(右)
    デザイナー
    福井県出身
    Nyokki 八幡 佑希、柿木 大輔、三谷 悠

    ©Daisuke Kitazaki

人材不足やテクノロジーによって働き方が多様化する時代。履歴書に求められるのは、採用を獲得するための書類であるだけでなく、働くことを前提として相互理解のきっかけとなることだと考えました。そこで、今の履歴書の記入項目をまるまる逆転させてみたらどうでしょうか。働く未来の「私」と向き合い、働き方から逆算的に対話していく履歴書になります。今まで通り使えるけれど、コミュニケーションが大きく変わる履歴書です。

川村 元気 講評

顔や学歴など「過去」ではなく、その人がこれから何をするか(未来)から書く履歴書というアイデアは素晴らしいと思いました。少し残念だったのはそのアイデアの面白さが、デザインとしての発明につながらなかったこと。あとは逆から、というのならば一番はじめにくる項目が、個人にとっても採用する企業側にとっても膝を打つような項目であるべきだったのかなと。つまり「働き方の希望」を一方的に述べるのではなく、個人と企業が組むことで「どんなシナジーがあって、何が生まれるのか」ということが書かれているべきではないか。その方が履歴書を受け取った側もその人を採用することで何があるかをイメージできるし、書く側も自分がその会社でどのようなことを生み出せるかを具体的にイメージできて、双方にとって「良い履歴書」になり得るのかなと。

お年玉カード

  • お年玉カード
  • 入選者:

    槇野 結(左)
    デザイナー
    千葉県出身
    渡辺 光(右)
    プランナー
    神奈川県出身
    H&F 槇野 結、渡辺 光

日本のお年玉文化に新しい形を提案する、ICカード型のお年玉です。お年玉において大切なことは、あげる大人ともらう子どもが、手と手を介してやり取りをすることです。来るべきキャッシュレス時代においても、それはリアルなコミュニケーションであってほしいと、私たちは願います。

伊藤 直樹 講評

キャッシュレス社会になり、失われるモノとしてのお金のありがたみや喜びに着目した点は素晴らしいと思いました。デザイン面も1次審査からブラッシュアップされ、とても評価すべきだと思います。ただ、「あげる」「もらう」というUX全体のシステムに、実現性と新規性をあまり感じず、惜しい気がします。

審査員総評

  • 石上 純也
  • 石上 純也
    (建築家)

    今回はTHE NEXT STANDARDというテーマに沿って、とてもクオリティの高い作品が集まったように思う。スタンダードという生活に浸透していく価値観についてそれらを刷新しようとする様々な提案を楽しく拝見した。
    特にグランプリと優秀賞に選ばれた作品に関しては、今の時代が求める生活のあり方とうまく一致していたように思う。そういう意味でも、単なる形状のデザインを超えて、多くのことを僕としても感じ取ることができたと思う。

  • 伊藤 直樹
  • 伊藤 直樹
    (クリエイティブディレクター)

    1次審査をして、審査員全員で話し合い、そして各作品にフィードバックする。2次審査では、プレゼンしてもらって実際のモックアップに触れられる。
    各作品の成長を目の当たりにして、とても手応えのある審査でした。ぜひ実現に向けて、お手伝いできることはさせてください。
    今年は、実現まで見届けたい作品にたくさん出会えました。受賞したみなさん、おめでとうございます。

  • えぐち りか
  • えぐち りか
    (アーティスト/アートディレクター)

    考え方の提案にとどまらず、本当に社会で機能するアイデアを見つけたいと思っていたので、いい作品が受賞したと思っています。
    受賞した作品を振り返ると、1次審査から2次審査と進んでいく中で、審査員からのリクエストを踏まえて総合的に考え抜かれているものでした。
    グランプリと優秀賞の差は僅差ではありましたが、このまま世の中に出せそうな実現性が最後に勝敗を分けたように思います。

  • 川村 元気
  • 川村 元気
    (映画プロデューサー/小説家)

    今回の受賞作から「次のスタンダード」となるようなデザインが生まれると確信しています。そう思えるほど、高いレベルの受賞作を選べました。今回受賞作となったものは、書類審査から2次に向けてきちんと改良がなされたものが多かったように思います。良いアイデアを多くの人に届くようにブラッシュアップする能力が高い今回の受賞者の方々から、後世に残るプロダクツが生まれることを楽しみにしています。

  • 中村 勇吾
  • 中村 勇吾
    (インターフェースデザイナー)

    とても面白かったです。おそらく「THE NEXT STANDARD」というハードル高めのお題がちょうど良かったのではないでしょうか。来年もう一度同じテーマを掘り下げるのもいいのでは? と思ったぐらいです。
    また、お題の中には含まれていないにも関わらず、上位作品には共通して「日本」という要素が滲み出ていたのが印象的でした。実際に世の中に定着してほしいと素直に思えるものばかりで、そうなることを願っています。

審査風景

デザインコンペ総括

実施12回目となるデザインコンペでは、「THE NEXT STANDARD」をテーマに作品を募集し、1,016作品の応募がありました。2018年度よりテーマの考え方と審査方法を変更し、現代社会の背景を踏まえデザインは何ができるか問いに対して答えを引き出すようなテーマとし、審査は作品はもちろんのこと人にもフォーカスする方法としました。

今回の応募数は前回とほぼ同じですが、コンペとしての着実な成長を実感しています。全体を見渡すと、テーマの解釈と解決の表現がさらに巧みになった印象を持ちました。意欲的なテーマでしたが、応募者の皆様に高いレベルでお応えいただきました。コンペの目指す新たなビジョンが浸透した結果でしょう。また、社会インフラや仕組みという観点での提案が多かったことは、これまでにない特徴でした。

審査基準は「デザイン力」「提案力」「テーマの理解力」「受け手の意識」「実現化(含む商品化)につながる」の5つです。加えて2次・最終審査では、審査員の審美眼による評価も加味しました。1次審査では書類審査で10組を選出、2次審査ではプレゼンテーション・審査員との質疑応答を行い、グランプリ1点、優秀賞3点を決定いたしました。

とりわけグランプリと優秀賞については長い議論が行われました。商品化・実現化について期待の高い複数の作品を発表できることを喜ばしく思います。

これまでと同様、今回の受賞・入選作については商品化・実現化の可能性を探っていきます。また、受賞者・入選者とのコラボレーションなどの支援をさらに推進し、デザインに関わる皆さまの目標であり続けられるよう努力してまいります。
最後になりましたが、参加いただいた全ての皆さま、今回はチャレンジしてくださり、ありがとうございました。

※サイト上の受賞作の作品写真は全て、2次審査進出決定後に入選者自身により制作いただいた模型を主催者が撮影したものです。1次審査の対象となったプレゼンテーションシート内容とは異なります。各プレゼンテーションシートは10月18日(金)~11月10日(日)の期間中展示スペースにてご覧いただけます。