デザインコンペ

2022年 結果発表

TOKYO MIDTOWN AWARD 2022デザインコンペ結果発表

デザインコンペ概要

テーマ

TRIP

2022年、そろそろパンデミックが終息してほしい。 そして、また旅に出かけたい。 あなた自身が描くこれからの「TRIP」にまつわるデザイン、アイデア、プロジェクトを募集します。

審査員 石上 純也、伊藤 直樹、えぐちりか、川村 元気、中村 勇吾
グランプリ(賞金100万円)─── 1点
優秀賞(賞金 各30万円)───3点
ファイナリスト(賞金 各5万円)─── 6点
  • ※グランプリ受賞者を世界最大規模の「ミラノサローネ国際家具見本市」開催中にイタリア・ミラノへご招待します(グループの場合は2名まで。新型コロナウイルスの影響で副賞の内容が変更になる場合があります)。
応募期間 2022年6月17日(金)~7月19日(月)
応募総数 1,218点

グランプリ

souvenyl chair

  • souvenyl chair
  • 受賞者:

    ツルタシュリ
    学生
    千葉県出身
    ツルタシュリ

ビニール袋を椅子にアップサイクル。旅先でもらうお土産袋や生活の中でもらう袋を加熱加工した、世界でたった一つの「お土産のような椅子」。重ねた袋の種類によって、人それぞれの個性や地域性が現れます。自身の旅を蓄積するだけでなく、この椅子がお土産として、人と人のあいだを旅することを目指して制作しました。

石上 純也 講評

旅先で出会い手に入れるビニール袋を素材にデザインされた椅子である。厚紙製の型紙を組み立てて、その型をベースに、ビニールをアイロンで表面に定着させていく。結果、表面のビニールが型紙を補強する役割を果たし強固なスツールが出来上がる。旅との関連性、ビニール袋という素材への着目、現れる姿、それらすべてが美しく結びついている。ローコスト感とともにあらわれる軽やかな印象がとても爽やかだ。ビニールシートの地域性とそれを転写する人の価値観が無数のデザインを生み出すとても優れた作品であると感じました。旅というテーマを超えて、時代性を強く含み椅子のデザインの歴史にも残り得る可能性もあるのではないかと感じました。

伊藤 直樹 講評

ビニール袋が有料化された現在でも、必要に迫られてどうしても買ってしまうときがあります。サステナブルな社会の姿をイメージしながらアイロンをかけてみるのもいいですね。ビニール袋をかぶせて強度を補強するという体験付きのプロダクトというアイデアが素晴らしいと思います。自分も体験してみたい商品です。ぜひ商品化してください。グランプリ、おめでとうございます。

えぐちりか 講評

ビニール袋で補強するという構造、ビニール袋の集積でできた椅子のビジュアル、どちらも秀逸で、満場一致でグランプリに決まりました。 買い物をした後はゴミ袋にするくらいしか再利用ができなかったビニール袋に今までにない新しい価値を生み出し、旅の記憶を思い出させたり 国や地域によってデザインが変わる面白さを楽しめるものでした。 テーマである「TRIP」にもしっかり落としこめている点も文句なくグランプリにふさわしい作品でした。グローバルで評価されるべき作品だと思うので商品化に向けて頑張って欲しいです。

川村 元気 講評

旅した国々の記録としての椅子、ライバルチェーンを掛け合わせた椅子、東京の雑多を表現した椅子、自分の家の消費模様がわかる椅子、などアイデアを喚起する素晴らしいデザインだと思いました。

中村 勇吾 講評

美意識の高さはもちろん、厚紙で製作された最小限の土台が、圧着されたビニール袋によって補強される、という構造的にも理にかなったデザインに唸らされました。実際に座ってみても、予想以上にしっかりとした手応えで、実用に耐えうるものだと感じました。

優秀賞

情景を重ねるポストカード

  • 情景を重ねるポストカード
  • 受賞者:

    funsui
    松尾 沙也加(中央右)
    学生
    福岡県出身
    大塚 眞浩(右)
    学生
    埼玉県出身
    加藤 槙之助(左)
    学生
    大分県出身
    平野 佳奈(中央左)
    学生
    広島県出身
    funsui 松尾 沙也加、大塚 眞浩、加藤 槙之助、平野 佳奈

今まで旅の思い出の記録としての役割を担ってきたポストカードに、「物語の情景を探しに行く」という旅の新しいきっかけを与えました。 コロナ禍やSNSの発達を経て、私達はわざわざ旅に出かけるという行為をしなくなってきています。旅を取り巻く環境が大きく変わりつつある現在、新しい旅の価値観や楽しみ方をこのポストカードは提案します。

石上 純也 講評

旅先で読む本はとても心に残る。文庫本に挟んで、旅をし、透明なシートに美しくプリントされた白い文字を重ねて、今いる場所の景色を眺め、それを写真に撮り記録に残す。その行為自体がとてもきれいな情景ではないかと感じました。旅先の記憶を心に留める爽やかな行為が実現できるのではないかと思いました。

伊藤 直樹 講評

まず、プレゼンに感動しました。いちばん心が動かされたプレゼンでした。本屋に売られているシーンもイメージできました。自分が好きな言葉を手にして、その言葉に合う風景を探しにでかけるという体験のストーリーも素晴らしいと思います。ぜひ商品化してください。買って風景を探しに出かけてみたいと思います。

えぐちりか 講評

2次審査のモックがとてもよくできていました。プレゼンの中で、文庫本と一緒に売るというアイデアを出されていたことで、ターゲットやこれを使用する様子が明確になりました。本を読んだ後にこのポストカードを持って心に浮かんだ景色を探しにいくという新しい体験、「旅」というテーマにふさわしい、素晴らしいアイデアでした。

川村 元気 講評

スマホアプリでも良いのでは、ということを本に挟んだポストカードとして形にしたことが面白いと思いました。

中村 勇吾 講評

このフレームに合う風景を探しに旅に出たくなる。ここに書かれた文章が頭の片隅にあり続けるだけで、風景への視線が豊かになる。旅や風景に対する思いを深めるメディアのデザインとして素晴らしいと思いました。

icetream

  • icetream
  • 受賞者:

    成瀬 峻
    デザイナー
    静岡県出身
    成瀬 峻

自然を感じたいと、旅した先でその土地の名水を飲む。その湧き水は、流れをつくり、上流から下流にかけて豊かな自然をはぐくむ。 その流れを支える石は、流されながら、角を削り、丸くなる。石にとっても「流れ」という旅をしている。これは石の上流から下流までの、形状変化になぞらえたアイスキューブ。帰路につき、旅先の自然に思いを寄せながら飲むと、いつもよりきっと美味しい。

石上 純也 講評

石が川の上流からの長い旅を経てその形状が移り変わっていく有様を、コップの中の景色として実現しています。とても詩的でとてもイノベーティブな作品である。金属製の石ころのような塊を冷やしたり温めたりして、コップに転がし、液体を注ぎ込む。石が液体の温度をコントロールするとともにコップの中に風景が浮かび上がる姿はとても秀逸であると感じました。

伊藤 直樹 講評

石のようなものをコップに入れて飲むという良い意味での違和感が、イノベーション(それが存在する前と後では人間の生活の常識が変わるもの)の可能性を感じます。コップを持ったときの重みも心地よく、使ったあとに軽く洗い流して冷蔵庫にしまう、という日常を想像したときに、新しい日常としてありえるな、使ってみたい!と思いました。ぜひ、商品化してください。使ってみたいです。

えぐちりか 講評

モックの完成度が高く、素材の検証も細かくされていて、どんな質問が来ても対応できる準備をされて2次審査に臨まれていました。水の中に石が入ることで、自然の湧き水をそのまま飲んでいる気分になれることが発見でしたし、家にいながら自然の中にTRIPできるとてもいいプロダクトだと思いました。パッケージは石を見せる方が売れるのではないかと思いますが、使いたいと思う素晴らしい作品だと思うので、商品化に向けて引き続き頑張っていただきたいです。

川村 元気 講評

デザインの美しさはもちろん、プレゼンテーションも説得力がありました。使い方をユーザーが見つけていくデザインとして、ぜひ実現してほしいなと思いました。

中村 勇吾 講評

川の上流から下流までをコップの中に凝縮する、という世界観に惹かれました。

器になる個包装

  • 器になる個包装
  • 受賞者:

    curry&hamburg
    瀧澤 光(左)
    フリーランスデザイナー
    神奈川県出身
    田村 開(右)
    インハウスデザイナー
    神奈川県出身
    curry&hamburg 瀧澤 光、田村 開

旅とは非日常であり特別な行為です。
普段体験できない贅沢を味わう行為。
どんな小さなことも、思い出の一つになります。
これは、お着き菓子の包装紙がそのままお皿になる提案。
おもてなしと楽しさを感じながらゆったりとお着き菓子を楽しめます。
些細なことからも贅沢感と楽しさを感じられることこそ旅の醍醐味ではないでしょうか。

石上 純也 講評

今までなぜ無かったのかと思うくらい、自然と受け入れられるようなデザインでした。所作や現れる景色としても、美しいと感じました。ただ、新鮮さを直感的に感じるところが少し欠けていたので、折り方だけではなくて紙の素材に関しても何か一つアイデアがあると、新鮮な印象になったと思いました。

伊藤 直樹 講評

審査会場の自分のテーブルの前に現物が置かれたときと実際に食してみたときの印象がだいぶ違いました。食してみると、器としての確かさもあり、包まれている状態の美しさと中の和菓子の美しさと、二度美しさを楽しめるところが素晴らしいと思いました。面によって素材を変えているところも意匠性が高く、光や色の映り込みも含めて、とても色気がありました。

えぐちりか 講評

どうして今までなかったんだろうというくらい、これからのスタンダートになりうる素晴らしいアイデアだと思いました。日本の折り紙を想起させ、器として和菓子との相性も良く完成度の高いプレゼンテーションでした。和菓子会社とコラボレーションして、器と和菓子のセットでさらに美しい商品としての今後の展開に期待しています。

川村 元気 講評

機能性が、美しいデザインとして形になっていることが素晴らしいと思いました。ぜひ和菓子屋とコラボレーションを。

中村 勇吾 講評

逆に今までなんでなかったんだろう?と思わせるほど、和菓子と調和した普遍的なデザインであると思いました。

ファイナリスト

旅風鈴

  • 旅風鈴
  • 入選者:

    小林 遣
    デザイナー
    山口県出身
    小林 遣

好きな場所で風のリズムを感じられる、携帯式の風鈴です。忙しい毎日の生活から遠く離れて自分自身と向き合いたい時、この風鈴から鳴る音が、あなたの心を癒してくれます。普段よく使われる水筒と同程度のサイズにすることで、リュックのポケットなどに入れて、どこにでも持ち運ぶことができます。これは「風の音を持ち歩く」という、新しい旅のあり方の提案です。

中村 勇吾 講評

縁側に固定されてる風鈴を、旅に連れていく、と発想できたことがまず素晴らしいと思います。プレゼン映像にあった、川の中で風鈴を鳴らしている情景も印象的でした。具体的なデザインについて、武骨なフレームと風鈴を組み合わせるというアイデアから出発して、プロポーションやディテールの部分で、より直感的な魅力が備わるとさらに素晴らしいものになるのではと思います。

花になるガム捨て紙

  • 花になるガム捨て紙
  • 入選者:

    吉田 峻晟
    学生
    茨城県出身
    吉田 峻晟

旅の印象を演出するゴミのデザインです。旅の印象とは、他者から与えられるものではないかと私は考えています。このプロダクトを知らない人が花の形状のゴミを持った人を見かけたら、きっと「この人はどうして花を持っているのだろうか?」と感じると思います。ゴミを持ち帰るという当たり前の行為が、他者の旅の印象に影響を与えるということを期待してこのプロダクトを考案しました。

川村 元気 講評

ユニークな発想と、文字通り華やかなデザインが目を引きました。ガムという主役に対しての、脇役としてのガム捨て紙なので、ガムとセットでどう見えるかということを知りたい気もしました。

Avatar

  • Avatar
  • 入選者:

    谷口 えいみ
    学生
    東京都出身
    谷口 えいみ

枠から離れる寸前まではギリギリ人の形を保ったしゃぼん玉が飛んでいく姿を目で追いかける。それはまるで、自分の分身が空を飛んで旅をしているように思える。気持ちが塞がったときに、空を飛びたいと思う。その思いをしゃぼん玉に乗せることにより、空や太陽、街の片隅、風の吹く方向、そういったいつもは見ていなかったところへも視界が広がるのではないかと考え制作した。

中村 勇吾 講評

人の形をしたフレームから、むにゅーっとシャボン玉が生まれ、空に向かって旅をしていく。それを見ていると、なんとなく自分の分身が世界の何処かへ旅していくように感じてしまう。「TRIP」というテーマに対する独特の詩的な解釈が印象的でした。

tadayo - 部屋を旅する照明

  • tadayo - 部屋を旅する照明
  • 入選者:

    はるえ と はやし
    春江 紗綾(左)
    会社員
    神奈川県出身
    林 海人(右)
    デザインの専門家
    東京都出身
    はるえ と はやし 春江 紗綾、林 海人

空中をゆっくりと漂う室内照明の提案です。
旅の本質は移動ではなく、変化だと思います。うつろう灯りによって、コロナ禍でずっと過ごしていた部屋をいつもとは違う空間に変化させることができます。これは、動かない旅の提案です。

石上 純也 講評

美しい提案だが、技術的には難解。実際、部屋の中間に浮き沈みせず留まらせ続けるのはとても難しい。その問題点を、ヘリウムの漏れ対策としてフィルム溶着技術に偏った説明には無理がある。実際には、フィルムの表面からも抜けていくし、室温が少し変化しただけで浮力は変わる。それらの変化に対して常にバランスを保つのは、アートなら可能性はありそうですが、面倒な調整なしに万人が毎日使う日用品にするのには相当な技術開発が必要。しかし、難解なデザインにチャレンジする熱意には敬意を表します。

振り掛け花火

  • 振り掛け花火
  • 入選者:

    井上 凪
    学生
    東京都出身
    井上 凪

ヒューと持ち上げ、ドンと振り掛け、パラパラパラと茶碗に咲く、振り掛け花火。今年は外に出られなかったけど、来年こそは行きたいね。みんなで見上げた思い出の花火を胸に、未来への会話に花が咲く。友達で、家族で、みんなで楽しく食卓を囲めるアイテムになれたら、と思い制作しました。

伊藤 直樹 講評

「ドーンと一発めしあがれ。」最高のキャッチコピーというかコンセプトですね。食卓での朝食や夕食がとても楽しくなりそうです。子どもたちも喜んでふりかけをかけてごはんを食べてくれそうです。楽しい体験が設計された素晴らしいプロダクトだと思います。

TOFU

  • TOFU
  • 入選者:

    TOFU
    李 彥霆(中央左)
    デザイナー
    台湾 台中市出身
    吳 承澤(左)
    大学院生
    台湾 高雄市出身
    汪 佳慧(中央右)
    大学生
    台湾 金門縣出身
    李 元浩(右)
    フォトグラファー
    マカオ出身
    TOFU 李 彥霆、吳 承澤、汪 佳慧、李 元浩

豆腐は千年を経ても変化が少ないことである。TOFU は豆腐のパッケージと形を再設計することで、豆腐のイメージを覆し、他の食材との組み合わせに味わいと創造性を加え、豆腐の四角い常識の枠を外れた。

えぐちりか 講評

すごい数のTOFUのパッケージと形に、制作者の皆さんがワクワクしながら楽しんでデザインしてきたことが想像できました。アイデアの質も数も高かったですが、「TRIP」というテーマに落としきれていないところが受賞までは行けなかったという感じでした。パッケージがこの形であることから生まれる新しい料理が生まれそうなので、ここで終わりにせず、商品化を目指して引き続き頑張っていただきたいです。

審査員総評

  • 石上 純也
  • 石上 純也
    (建築家)

    今回「TRIP」というテーマで、とても楽しく審査させていただいた。一見、誰にでも考えることができる優しいテーマに思えるが、実際には、旅に対する個々人の価値観が異なる中、多くの人々が共有できるデザインとして提案するとなるととても難しいように思う。自分の思い入れだけではなく、旅という行為を自分なりに思い浮かべ、それを抽象化しデザインへと転化する行為は高度なデザイン能力を必要とする。実際、最終的にファイナリストに残った作品は自分が感じる旅への思いと、それが万人へも通じるデザインの昇華という所でバランスがとれていて、結果的にレベルが高い作品が上位に残ったのではないかと感じた。

  • 伊藤 直樹
  • 伊藤 直樹
    (クリエイティブディレクター)

    「TRIP」って具体的で結構難しいかと思っていましたが、結果的に良いトリガーになっていたと感じました。未だに行動が制限されている中で「何か体験したい」という渇望感が醸成されていっている気がしていて、上位賞の作品は素敵な体験が一個加わってるものが多い。そして今回の特徴として、プレゼンの中の映像がすごく良かったです。「TRIP」を伝える時に、映像と音で感性を伝えている点が特徴的でなおかつレベルも高い。今年のプレゼンは5年間の中でも一番良かったと思いました。トータル的に、非常に感銘を受けた回でした。

  • えぐちりか
  • えぐちりか
    (アーティスト/アートディレクター)

    1次審査では「TRIP」というテーマが難しかったという印象を持っていましたが、2次審査でのモックの完成度が高く、どのチームも期待を上回るプレゼンテーションでした。上位賞の審議では審査員が満場一致で「これだよね」というものを審査員を務めて5年目にして選ぶことができました。それぞれとてもいい作品なので、受賞で終わらずに商品化へむけて頑張っていただきたいです。これをきっかけにして、それぞれの道での更なる活躍に期待しています。

  • 川村 元気
  • 川村 元気
    (小説家/フィルムメーカー)

    「TRIP」というテーマの解釈が広く、それがゆえにユニークなデザインが登場した印象でした。アイデアを具体化させるプロセスで生まれるデザインの進化もあり、2次審査のプレゼンまであるこの賞ならではの表現が生まれたことがとても良かったと思います。

  • 中村 勇吾
  • 中村 勇吾
    (インターフェースデザイナー)

    実際の旅で使われるプロダクトのデザインであったり、内面的な心の旅を誘発させるメディアのデザインであったり、「旅」の解釈が実に多様で興味深かったです。プレゼンのレベルが高く、デザインに対する実際的な検証はもちろん、自分は「旅」についてこう考えた、というそれぞれのデザイナーの価値観が強く伝わってきたのが印象的でした。具体的に使用してどうか、というよりは、「それを媒介にしてどのように心が繋がるか」といったデザインの別の側面が垣間見えました。

審査風景

デザインコンペ総括

15回目と節目の回になった今年のデザインコンペは、「TRIP」をテーマに掲げ、従来通り応募時点で39歳以下という条件のもと、過去4年と同様の5名の審査員で審査を行いました。

パンデミックにも人々が順応しだしたようなムードを感じつつも、国際情勢や経済などを中心に新たな変化の渦が、世界を取り巻いています。「旅」のデザインでコロナ後の未来に想いを馳せていただきたいという思いから、「TRIP」をテーマに掲げ、全体では1,218通りの作品案の応募がありました。「旅に出たい」という初期衝動をダイレクトに訴えるようなプロダクト、ファッション、コミュニケーションデザインから、別視点で「TRIP」というワードを読み解いたデザイン提案まで幅広い作品が集まりました。

「デザイン力」「提案力」「テーマの理解力」「受け手の意識」「実現化(含む商品化)につながる」という5つの審査基準のもと、1次審査(書類審査)で10点を選出、2次審査ではプレゼンテーション・審査員との質疑応答を行い、グランプリ1点、優秀賞3点、ファイナリスト6点を決定いたしました。現在の審査員陣でのアワードは5年目となりますが、満場一致でグランプリが選出されたのは初めてのことでした。また、上位に残った作品は、提案力、想像力、発見力が優れていた印象です。

昨年に引き続き、2次審査は作家はリモートでプレゼンテーションを行い、審査を実施しました。プレゼンテーションの質がどのチームも高く、若い世代のデジタルリテラシーの高さを実感しました。またファイナリスト10組のうち6組が学生だったことを受け、審査員および主催者一同、次世代を担うデザイナーの大きな可能性を感じる結果となりました。

商品化・実現化への期待が大きく膨らむ、実用的なデザインから詩的な提案まで、幅広い計10作品を発表できることを喜ばしく思います。これまでと同様、今回の受賞・入選作については商品化・実現化を目指していきます。

応募をいただいたすべての皆さまに感謝の意を表します。ありがとうございました。