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“見えない景色”から見えたこと。

Tokyo Midtown Award 2011 アートコンペで準グランプリと東京ミッドタウン特別賞を受賞した木村恒介さんの「みえない景色」は、20面のアクリルミラーによって、写される景色が変わり続ける。この作品の応募がアートコンペ三度目の挑戦だった木村さんの、“見えない景色”を通して見えたこととは?

インタビュー・テキスト 高橋 淳

―― 『都市』が2011年のアートコンペのテーマでした。木村さんはまずどんなことをイメージしましたか?

木村:その前年、前々年は『JAPAN VALUE』というテーマで、2回とも落選しているんです。2011年にテーマが『都市』に変わり、すごいペースで建物が建ったり無くなったり、変化が大きいのに関わらず何故か目に見えてこないという、僕の中の東京のイメージをコンセプトにしてみようと思ったんです。

―― 変化する都市そのものではなく、それが見えてこないところの不思議さに着眼したんですね。そういった見方は昔から?

木村:そうですね。小学校の時に「クラスの◯◯ちゃん可愛い」とか「あのヒーローかっこいい」とかみんなが好きになる対象ってありますよね。僕はなんでみんなそう思うのか、みんながそれをどう見ているのかを考えるのが好きだったんです。もちろん当時は小さい時だったので、そこまで深く考えたりしていなかったですが。

―― 見えない都市のコンセプトが決まり、それをアクリルミラーで表現しようとしたきっかけと、応募までのプロセスを教えてください。

木村:ビルの窓ガラスを見たときです。一見綺麗に並んでいる窓ガラスってよく見ると少しだけ歪んでいて、景色が揺れて見えるんです。それが僕のコンセプトにどこかリンクして、面白そうだなと思ったんです。そこからはいろんな厚みのアクリルミラーを買って、サイズや張力、動かし方や見え方を実験しながら作品作りをしていきました。

―― 作品作りの中で木村さんが大切にしていたことってなんですか?

木村:この作品に限ったことではないのですが、“期限に間に合わせること”ですね。悩みすぎて実制作の期間が少なくなってしまい、結果的に作品のクオリティが下がるのだけは避けたいんです。というのも、過去にスケジュールの組み立てがうまく行かず、不完全燃焼なまま作品を展示してしまった失敗がありまして。そのトラウマが大きかったのかも知れません。

Tokyo Midtown Award 2011 アートコンペで準グランプリ・東京ミッドタウン特別賞を受賞した木村さんの作品「みえない景色」

Tokyo Midtown Award 2011 アートコンペで準グランプリ・東京ミッドタウン特別賞を受賞した木村さんの作品「みえない景色」

―― それは残念な思い出ですね。確かにコンペは期限にしっかりと間に合わせないと、何も起きないですね。

木村:そうなんです。特にコンペに関しては期限が前もって分かっているので、良い作品をつくるためにそこの調整は必須だと考えています。

―― では一次審査も余裕を持って応募したんですか?

木村:いえ、ギリギリまで粘りました。ビジュアル一発で伝わるような作品ではなかったので、応募シートにどんなタイトルで、どんな図説にしたら良いか、どうしたら伝わるかを考え、悩みましたね。

―― 悩んでいるときは誰かに見せたりするんですか?

木村:見せないですね。何となく途中の状態を人に見られるのが嫌なんです。一人でシートとずっとにらめっこして、ああでもないこうでもないと。

―― 一次審査通過の連絡を受けた時はどんな気持ちでした?

木村:このコンペに関して、一次審査はなんとなく通るんじゃないかなと思っていたので、連絡を受けた時は次に向けて準備のことしか考えていなかったですね。二次審査までの期間がそんなになかったので、通過の余韻に浸る間もなく、模型とプレゼンテーション作りに入りました。

二次審査での公開プレゼンの様子

二次審査での公開プレゼンの様子

―― すごい自信ですね! 二次審査も通過し、最終審査の公開制作。そこで苦労したことや気づいたことはありますか?

木村:それまでは地方で公開制作をしたことはあったんですが、展示場所である、東京ミッドタウンのプラザ地下一階のような人通りの多い場所で行ったことはなかったので、その日の作業を終え、途中段階で置かれた作品を見た時に人はどう思うんだろうなど、そんなことを気にしました。自分の工房だったら機材や材料を適当に置けますが、人が多く往来する場所なので綺麗に保つことも気にしたり。大変だったのは、ちょっとした工事のように大きな機材やパーツを持ち込むので、搬入時に東京ミッドタウンの館内を傷つけないように神経を使いました。大掛かりな制作だったので、設置は夜の12時から朝5時までの時間帯で行っていました。

最終審査前の公開制作の様子

最終審査前の公開制作の様子

―― 夜中の作業だったんですね。完成した後は作品を見に行かれましたか?

木村:ちゃんと機械が作動しているか、確認とメンテナンスを含め隔週で見に行っていました。それと主に見てくれた人達が付けた指紋を拭き取ったりしていました。やっぱり鏡がグネグネ動いてるとどうも触っちゃうみたいで。

―― 指紋を作家自ら拭いていたんですね。実際に展示をしてみて、どうでしたか?

木村:やっぱり美術館などの箱の中での展示ではないので、作品鑑賞に来ていない人の反応を見ることができたのは良かったですね。それと通りがかったいろんな人と話すことができたりして、それはとてもいい経験になりました。

公開中の様子

―― Tokyo Midtown Awardを受賞したことが木村さんに及ぼした変化や影響を教えてください。

木村:Tokyo Midtown Awardに入選したおかげで、東京のデザインウィーク期間中、そして翌年のアートナイトの期間にも展示ができて、自分の名前がメディアに出るきっかけになりましたし、人との出会いもたくさん生まれました。審査員の方ともつながりができて、新しい仕事や展示の機会が増え、とにかく幅が広がりましたね。展示中もしっかりと東京ミッドタウンが広報してくださって、その点もとても助かりました。
2011年東京ミッドタウンアワードのアートコンペ結果ページ

―― それはとても大きな機会でしたね。木村さん自身のこれからの目標やチャレンジしたいことは?

木村:当面の目標として、今年からドイツに活動の場を移すので、そこで展示をする機会を作っていきたい思っています。Tokyo Midtown Awardで得た経験と知識も活かしながら、自分が美術でできる要素を増やしていきたいと思っています。

―― 最後にこれからアワードに応募する人へメッセージをお願いします。

木村:審査を通れば大きな機会を得られるコンペだと思います。賞金とは別に公開制作の予算もここまでしっかり出るアワードは珍しいんじゃないでしょうか。場所もいいので、様々な人へ発信でき、僕自身とても良いステップアップになりました。可能ならば展示される場所も見ておいて、そこに置かれるイメージを大切にしつつ、過去作品にとらわれないで頑張って応募してみてください。募集人数が増えると、当然面白い作品が増えますからね。

木村 恒介
木村 恒介 Kohsuke Kimura
美術作家
1982年 栃木県生まれ
2007年 武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業
2009年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現修了
2015年 ポーラ美術振興財団在外研修員(ドイツ)
主な展示 クリエイションの未来展
ハクリビヨリ
水と土の芸術祭など
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